神社において神様のいる神聖な場所を表すなど、重要な役割をもつしめ縄。神社のしめ縄を綺麗な状態にしておくことは大事なことであり、神職や氏子の代表である宮総代(氏子総代)がその役割を担っています。本記事では、しめ縄の意味や宮総代の意味と役割、仕事内容についてご紹介します。
宮総代とは?関係の深い宮司と呼び方の意味
ここでは、宮総代の役割や呼び方の意味をご紹介します。
宮総代とは
宮総代とは、氏子総代、神社総代ともいい、神社本庁によると「神社の運営について、役員を助け、伝統の保持新興について宮司に協力する」とあります。
氏子の代表として、神社の宮司とともに、神社の祭祀や保持のための活動をする、地域の名誉職であり、神社の世話人であり、神社と地域のパイプ役のようなものなのです。
宮総代は、氏子の代表と述べましたが、氏子とは、氏神様がお守りする地域に住む人々のことで、土地を守っている氏神様に帰依し、守護を受けています。神社の運営は氏子総代や宮総代だけで行うのではなく、氏子も氏神神社の運営や清掃活動、祭典などへ参加します。
宮司とは
宮司とは、神職の職階のひとつ。神社の祭祀を司り、神事の責任者であり、神社の財産の維持管理にも努めます。しかし、神社は宮司がひとりで維持運営できるものではないため、総代をはじめとする氏子の協力が必要なのです。
また、全国には宮司の数にたいして神社の数の方が圧倒的に多いため、ひとりの宮司が複数の神社を管理する場合もあります。
「宮総代」呼び方の意味
宮総代は氏子総代、神社総代など、異なる呼び方が存在します。なぜかというと、神社には「〇〇神社」と呼ぶだけでなく、「社」、「大社」「神宮」「宮」などさまざまな呼び方があるからです。
例えば、「大社」はもともとは出雲大社のみでしたが、戦後から名乗る神社が増えました。「神宮」「宮」は皇室と関わりをもつ神社をいい、伊勢神宮をはじめ、「東照宮」や「天満宮」などがあります。
ゆえに「宮総代」は神宮系の氏子総代を呼ぶ場合が多いといえます。
宮総代の仕事
宮総代の仕事内容は、多岐に渡ります。例をあげると…
・しめ縄作りや付け替え作業
・総代会への参加
・祭典の準備や進行、参加
・初詣の参拝者への対応、火の管理
・神社や周辺の環境整備、清掃
・氏子へお札を配ったり、寄付を募ったりする
このような仕事を、神社の宮司や氏子中(氏子のみなさん)と協力して行います。
業務内容や負荷は神社によって異なりますが、地域の過疎化や高齢化により、なり手不足が問題になっている神社もあります。
宮総代の大事な仕事のひとつ・しめ縄交換
氏子たちの大事な仕事のひとつが、しめ縄の交換です。
年に1回や数年に1回、年末や例大祭の前に付け替える場合も多いですが、交換頻度や時期は、それぞれの神社の慣習によって異なります。
しめ縄を作る人も、氏子たちが集まって協力して綯う場合もあれば、出雲大社のように専門集団が作り、氏子がつける場合もあります。また近年、高齢化や地方から都会への人口流出により、氏子で集まってしめ縄作りをするのが難しくなっている神社もあり、しめ縄の製造会社に注文をする神社もあります。
また、近年注目されているのが、長年交換が不要な合成繊維のしめ縄です。古く劣化したしめ縄をつけ続けているのは、神様に申し訳ない気持ちになりますし、地域にとって大事な神社ですので、美しい状態に保ちたいと思うものです。
しめ縄作りや頻繁な交換が難しい神社でも、一度つけると長年つけても美しさが保たれると神社や総代さんの助けにもなっています。
しめ縄の意味
最後にしめ縄の意味に触れておきましょう。
神社の鳥居や拝殿、本殿、手水舎、御神木などさまざまな場所に張られているのが、しめ縄です。
しめ縄は、神様のいる神聖な場所や神様が宿る依代を示す役割や、神聖な場所に不浄なものやよくないものが入ってこないようにする役割があります。
また、境界を表したり、立ち入り禁止を示す結界、そして占有を意味することもあります。
しめ縄に垂れ下がっている白い紙は「紙垂」といい、神聖さや清浄さを表しているほか、稲妻の形から、雷の力でよくないものを寄せ付けないという意味もあります。
このように、神社において重要な意味があるしめ縄は、おもに稲わらで作られています。地域によっては。大麻やスゲ、真菰などが使われる場合がありますが、いずれにせよ、月日と共に劣化してしまうため、しめ縄の定期的な交換が必要になります。
まとめ〜宮総代は神社と地域にとって大切なお役目〜
宮総代は、神社と氏子のパイプ役であり、神社の維持管理にとってとても大切な意味のある仕事です。宮総代の仕事は、しめ縄の製作や交換、祭典の準備や進行など多岐に渡るため、やりがいのある仕事である一方で、なり手不足が問題になっている神社もあります。神社を守ることは地域コミュニティを守り、日本の文化を守ることにつながりますので、時代に合わせた柔軟な対応と地域の人々の協力が必要といえるでしょう。