しめ縄は稲わらを使って作るのが一般的ですが、近年、合成繊維を使用して作るしめ縄が注目されてきています。この記事では、合成繊維のメリットデメリットや種類を解説し、近年のニーズもふまえて、合成繊維のしめ縄の導入についてご紹介しています。
合成繊維の種類と特徴
神社や神棚などにみられるしめ縄は、神様のいらっしゃる神聖な場所や俗世との境界を表したり、よくないものを寄せ付けない結界としての役割があります。
このように神社において重要な役割を持つしめ縄ですが、近年のびているのが合成繊維のしめ縄です。そもそも合成繊維とは、化学繊維の一つで、石油や石炭、水、食塩、空気から作られたものをいい、いくつかの種類があります。
代表的な素材を以下でご紹介します。
ポリエステル
エステル結合で結合されたポリマーで形成された繊維です。
世界でも多く使われており、強度や摩耗耐性に優れていることに加え、耐熱性も高く、他の繊維との相性もよいという特徴があります。
ポリプロピレン
ポリプロピレンは合成繊維の中で最も軽く水に浮き、丈夫で速乾性があります。薬品やカビ、虫食いにも強く汚れがつきにくいのが特徴です。
ポリエチレン
ポリエチレンは、レジ袋や洗剤などの容器、自動車部品などあらゆる場面で活用されている繊維です。耐薬品性、絶縁性、防水性、耐寒性に優れています。
天然繊維の種類と特徴
一方、日本で古くから利用されてきた天然繊維にはどのような種類や特徴があるのでしょうか。代表的な素材の特徴をみてみましょう。
稲わら
日本人に最も身近な存在であり、しめ縄の材料として最もポピュラーなのが稲わらです。
しめ縄はほとんどの場合、その年の豊作を神様に感謝し、翌年の豊作を祈願する意味を持ち、地域の氏子たちが作って、神社に奉納してました。現在でもこの習慣が続いている神社もあります。
麻
麻も古くから生活の中で使われており、とくに日本古来の神聖なものとされる麻を「大麻(おおあさ)」といいます。大麻は光沢が美しく、伊勢神宮の神札神宮大麻」は、もともとお祓いに使った麻がルーツになっています。
まこも(真菰)・スゲ
まこもやスゲといった、水辺に生える、背が高くしなやかな草もしめ縄の材料として使用されてきました。まこもは古くから邪気を払うと言われており、出雲地方で現在も使用されています。またスゲは、北海道や東北地方での利用が多いのが特徴です。
合成繊維と天然繊維の比較
以上の特徴からわかるように、合成繊維と天然繊維にはそれぞれメリットとデメリットがあります。それぞれを比較してみました。
合成繊維のメリット
・強度が高い
・耐水性や防カビ性に優れている
・リサイクルが可能
合成繊維のデメリット
・吸水性がほとんどない
・染色性の悪いものも
・静電気を帯びやすい
天然繊維のメリット
・風通しがよく乾きやすい
・伝統のあたたかみがある
・神社の雰囲気になじむ
天然繊維のデメリット
・劣化が早い
・交換頻度が多い
・材料の調達が難しくなってきている
・作り手が減少してきている
なぜ今、合成繊維のしめ縄が注目されているか
しめ縄は神社や神棚にとって重要なものであり、神様のいらっしゃる場所であるため、常に美しく整えておくことが理想でしょう。
しかし近年、材料である稲わらの調達が難しくなっていることや、作り手の高齢化により、しめ縄が作れない、さらに鳥居は高所にあるため、交換が難しくなってきたという現実があります。
合成繊維は長い間共にあった日本の伝統素材ではないかもしれませんが、神社やしめ縄そのものがなくなっては、日本の伝統が途絶えるだけでなく、地域の人が集まったり、祭りをしたりといったつながりの場所まで失われてしまいます。
伝統文化を守り、次の世代へつなげたい、そんな神社に関わる方々の想いをつなげることができるのが、合成繊維のしめ縄なのです。
合成繊維のしめ縄をおすすめする神社
古くから神社のしめ縄は氏子たちがわらなどの天然素材で作り、奉納するのが一般的でした。しかし、わらのしめ縄は、腐食や虫食いなど劣化が早いため、毎年のように交換が必要になります。
一方、折橋商店のしめ縄は高密度合成繊維を使用しているため 耐久性、防水性、耐寒性に優れているため、汚れがつきにくく、内部の腐食にも強いのが特徴です。
ですので、しめ縄の制作や交換が難しい神社では、一度取り替えると30年メンテナンスの必要のない、合成繊維のしめ縄がおすすめです。
まとめ〜合成繊維と天然繊維、それぞれに良さがある〜
以上のように、合成繊維も天然繊維もそれぞれメリットがありデメリットがあります。
合成繊維のよさは一番はその耐久性にあり、長年交換が不要な点です。一方の天然繊維は、伝統のあたたかみや神社の雰囲気になじむ点で合成繊維にはない良さがあります。
どちらのしめ縄を導入するとしても、神社やしめ縄の伝統を守り、後世に伝える、神様に美しいしめ縄を奉納するという点では同じですので、神社の現状にあわせて検討してみてはいかがでしょうか。