お正月に玄関に飾るしめ飾りは、形がさまざまであるだけでなく、飾られているモチーフ(縁起物)もバラエティ豊かです。この記事では、さまざまなモチーフ(縁起物)の種類や意味をご紹介します。
お正月のしめ飾りの意味は?
お正月に玄関に飾るしめ飾りは、歳神様をお迎えする目印です。家のなかが清浄であり、歳神様をお迎えする準備ができたことを表しています。
しめ飾りのルーツは、神社や神棚でみられるしめ縄です。かつてはお正月の前に、しめ縄を家の周りに張り巡らせて邪気を払い、お正月を迎えていました。これに縁起物がつけられるようになり、現在のしめ飾りのかたちになったのです。
しめ飾りの縁起物は種類が豊富
しめ飾りは地域によって形も違えば、ついているモチーフ(縁起物)も異なります。
ここでは、オーソドックスな縁起物から、限られた地域にしかみられない縁起物まで一挙にご紹介します。
オーソドックスな縁起物
一般的なしめ飾りにみられる縁起物をご紹介します。
・裏白
葉の裏が白いことから、表裏なく清い心や潔白を表し、白い=白髪のイメージや葉の先が枝垂れることから長寿を表します。また、2枚の葉が対になっていることから夫婦円満や、大群落をつくる生命力から繁栄を表します。
裏白は、潔白な心を表すために、白い裏側を表にして飾りましょう。
・ゆずり葉
新しい葉が生長すると、ゆずるようにして古い葉が落ちるので、親から子へ代々譲られる子孫繁栄を表します。
・紙垂
紙垂は、稲妻の形がよくないものを遠ざける、神聖さを表す意味があります。
紙垂は基本的には白色ですが、めでたさを表すために紅白や金色、千代紙などカラフルな紙垂が使われる場合もあります。
・橙
だいだいは代々繁栄することの祈願を表します。
生き物を表す縁起物
生き物や動物を表す縁起物をご紹介します。
・海老
腰が曲がるまで長生きできるように、長寿を表します。
・鶴
「鶴は千年」というように、長寿を象徴するほか、夫婦仲がよいため夫婦円満を表す、吉祥の鳥です。
・亀
「亀は万年」というように、長寿を象徴する縁起のいい動物で、甲羅の六角形の紋様も吉兆を表します。
・鯛
おせち料理にも入っている鯛は「めでたい」にかけて縁起物です。
植物の縁起物
植物の縁起物をご紹介します。
・稲穂
豊作祈願をあらわします。
・南天
なんてん→「難を転じて福となす」となり、招福。そして、赤色が厄除け、魔除け
・松ぼっくり
種子をたくさん実らせることから、子孫繁栄の意味をもちます。
・松
真冬でも青々とした常緑樹の松は、長寿と健康をあらわすほか、門松にも使われているように、歳神様の依代でもある特別な木です。
・椿
木偏に春と書くため、春がくることを表すほか、葉は常緑樹であり冬でも青々として艶があるため、繁栄をあらわします。
・蜜柑
橙のかわりに蜜柑を用いることも多く、また柑橘類の「きつ」が「吉」に通じるため縁起が良いといいます。
・菊
古来より、薬効のある植物としてアジア圏で広く親しまれてきた菊は、健康や不老長寿の象徴であり、長生きの縁起物です。
・笹(竹)
真っ直ぐに力強くのびる生命力、商売繁盛をあらわします。
・干し柿
柿は「嘉来」と書いて、幸せがやってくるという意味や長寿の木であること、柿の栄養面の優秀さから縁起がいいとされています。
その他の形の縁起物
動物でも植物でもなく、抽象的なものや物体なども縁起物として親しまれています。
・水引き
封印、厄除け、縁を結ぶという意味があります。強い結びつきを表す結び方や鶴や亀のような縁起のいい形で結ばれます。
・扇
末広がりな形が縁起が良く、繁栄や開運をあらわします。
・おかめ(お多福)
おかめは阿亀(おかめ)さんという女性がモデルになっており、福を呼び込むことから「お多福」さんに変化。福を呼ぶ意味があります。
・宝船
米俵を積んだ宝船は、厄を流して福を呼ぶ意味があります。
・七福神
七福神は7つの災いを除いて、7つの幸せを与えてくれる神様で、恵比寿、大黒天、毘沙門天、弁財天、寿老人、福禄寿、布袋様がいます。
地域性の強い縁起物
地域性が強く独特な文化を表す縁起物をご紹介します。
・にぼし
昆布と焼き干し(にぼし)が秋田県のにかほ市のとある地域の伝統だといわれています。
・昆布で巻いた炭
沖縄県で一般的な飾りは、みかんの下の昆布で巻いた炭です。
この飾りは「たん(炭)と喜ぶ(こんぶ)」の語呂合わせからきており、長寿や家の繁栄を祈るものだそうです。
・「蘇民将来子孫之家門」または「笑門」の木札
三重県伊勢地方で特徴的なのが、「蘇民将来子孫之家門」または「笑門」の木札をつけたしめ飾りです。ごぼう締めに橙や裏白、柊、馬酔木などと共につけられています。またこの地方では、1年中飾られるのが特徴です。
まとめ〜あなたの地域の縁起物は何ですか?〜
お正月のしめ飾りの縁起物にはさまざまな種類があり、どれが飾られているのかは地域や好みによって異なります。また近年では、インテリアに適したしめ飾りも多く、縁起物にとらわれずに、自由にモチーフを選んで作られるものもあります。
地域やご家庭の伝統や好みに合わせて、意味を考えながら選んでみるのも楽しいですね。