折橋商店

八幡神社や伊勢神社、稲荷神社など、全国各地に同じような名前の神社があるのを疑問に思ったことはありませんか？

日本にはさまざまな神様がいますが、このような勧請によって分霊された神社は「勧請型神社」と呼ばれ、平安時代ごろからさかんに各地に造られるようになりました。

この記事では日本に古来からある氏神信仰との違いや神社信仰の成り立ち、種類についてご紹介します。

氏神信仰と勧請型信仰

神社信仰には大きく分けて、氏神信仰と勧請型信仰があります。

氏神信仰とは、祖先神をまつるもので、古代では同じ氏をもつ人々だけが祀っていましたが、中世ころになると氏神様の周辺に住み、祭礼に参加する人全員を氏子と呼ぶようになりました。このような血縁と地縁による信仰を氏神信仰といいます。

氏神信仰では、五穀豊穣や一族の繁栄がおもに祈願されます。

対する勧請型信仰は、新たに開発した領地に自らの氏神や霊威ある神々を勧請（お呼び）しお祀りする信仰のことで、現在でも日本各地に八幡信仰や伊勢信仰、稲荷信仰などの神社が多く残っています。

平安時代初期までの人々の神社信仰は、土地の氏神信仰が主流でした。

勧請型信仰が盛んになったのは、平安中期ごろから。稲荷、八幡、天神、伊勢などの霊威ある神々が地域を超えて祀られるようになったのです。

勧請型信仰が広まった背景

勧請型信仰が広まった背景として、平安京などの住民の多くが農村から都市に移住した新住民であり、地縁血縁関係が少なく、霊威神・流行神を受け入れやすかったことも関係があると考えられています。

また、この時期には仏教信仰における個人救済の影響によって、個人での祈願や現世利益を求める風潮が広まり、霊威ある神々が地域を越えて信仰されるようになっていきます。

こうして流行神として各地方に武士や農民などの信者が増え、参詣者の案内や世話をする御師の活躍などによって、さらに勧請型の神社は広まっていきました。

おもな神社信仰

勧請型の神社信仰にはいくつかの種類があり、祀られている神様の性格も異なります。

ここでは神社信仰の種類とそれぞれの性格について簡単にご紹介します。

八幡信仰

八幡信仰は、武家や寺院の守護神であり、宇佐八幡宮を本宮として、石清水八幡宮、鶴岡八幡宮または福岡県にある筥崎宮を合わせて3大八幡宮と呼ばれています。寺院の鎮守神として勧請されたことに加えて、源氏の氏神になったことから武運の神でもあります。

八幡信仰とは何か？由緒や歴史と日本で一番多い理由を解説

八幡信仰について解説しています。八幡信仰に関わる神社が日本一多いことや三大八幡宮をあげたあとで、八幡信仰はなぜ日本一多いのかを由緒や歴史から説明しています。八幡信仰が広がったポイントとして、皇祖神になったこと、奈良の大仏建立に際して協力したこと、源氏が氏神としたことで、武士の神として広まったことをあげています。八幡信仰について理解し、身近な八幡神社などに興味が持てる内容になっています。

伊勢信仰

伊勢信仰は、天照大神と豊受大神が祀られている国家鎮護の最高神であり、皇祖神（天皇の祖先の神）でもあります。全国には神明社や伊勢神宮として勧請されています。

また、全国各地に伊勢信仰の共同体である「伊勢講」ができ、江戸時代には総本宮である三重県の伊勢神宮を目指す「おかげ参り」が盛んになりました。

伊勢信仰とは何か？伊勢神宮の歴史や伊勢参りについて解説

伊勢信仰について、伊勢神宮の歴史を中心に解説しています。伊勢信仰は八幡信仰についで2位の規模の信仰であること、伊勢神宮の内宮と外宮について触れたのち、祭神である天照大御神の誕生から伊勢への鎮座、神仏習合による変質、御師の活躍による庶民への広がりを解説し、伊勢参りやお蔭参りのムーブメント、伊勢講、そして明治時代から戦後の変容という、創建から現在までの歴史を紹介しています。歴史から伊勢信仰がわかる内容になっています。

天神信仰

天神信仰は、菅原道真という人物を祀った信仰です。太宰府天満宮・北野天満宮・大阪天満宮を合わせて3大天神といい、大阪天満宮の天神祭は有名です。

雷雨の神、学問や和歌などの神として全国に勧請され、全国に天満神社、北野神社、天神神社などがあります。

神社信仰とはなにか？神社信仰の成り立ちと種類を解説

稲荷信仰

神の使いの狐、千本鳥居などが有名な稲荷信仰は、穀物や諸産業の神として稲荷神社、宇賀神社、稲荷社となり全国に勧請されています。神社の境内やビルの屋上、町の小祠などさまざまな場所に祀られているのが特徴です。

本宮は伏見稲荷大社で、もとは渡来人である秦氏の私祠であったものが、東寺の鎮守となり、農村の民俗信仰と結びついたことで広まったとされています。

稲荷信仰とは何か？特徴や歴史、狐や千本鳥居について解説

稲荷信仰についてまとめた内容です。稲荷信仰の総本山である伏見稲荷大社や祭神、全国に最も多いのが稲荷信仰であること、さらに独自の特徴や、ご利益、シンボル的な存在の白い狐と赤い鳥居、稲荷山のお塚の存在について紹介しています。そして古代にさかのぼる稲荷信仰の起源や神仏習合と深い関わりのある歴史について解説し、伏見稲荷大社の祭りにも触れています。稲荷信仰についてわかる記事となっています。

熊野信仰

熊野信仰は、農林水産や良縁を結ぶ神として、熊野神社、王子神社、十二所神社、若一王子神社として勧請されています。本宮は熊野本宮神社、熊野速玉神社、熊野那智大社で、神道と仏教、民間信仰、修験道などが合わさった信仰でもあります。伊勢参りのように「熊野詣」も盛んでした。

熊野信仰とは何か〜特徴や歴史、祭神、熊野古道について解説

熊野信仰についての特徴や歴史、熊野古道などについて紹介しています。熊野信仰とは熊野三山を中心とした信仰で、平安時代末期頃から熊野詣がさかんになり、日本最大の霊場となったこと、祭神、全国にある熊野信仰について紹介したあとで、熊野信仰の歴史をのべています。また世界遺産である熊野古道、現代でも熊野参詣や西国三十三所巡礼、観光地として熊野の地があることにふれ、太古の昔から脈々と続いている熊野信仰がわかる内容になっています。

諏訪信仰

諏訪信仰は、狩猟神、軍神、風や水の神であり、武士層から厚い信仰を受けました。中心の神社は諏訪大社、諏訪社、南方神社などで、現在でも御狩神事が行われています。

諏訪信仰とは何か〜全国的に珍しい祭や神事、祭神や特徴、歴史など解説〜

長野県にある諏訪大社を中心とした信仰である諏訪信仰について紹介しています。諏訪信仰の全国的な広がりや上社下社といった特徴、祭神や祭神の性格を解説し、御柱祭、御神渡りなどの全国的にも珍しい祭や神事を紹介しています。それから諏訪信仰の歴史について、大祝という珍しい神職に言及しながら、縄文時代から中世、戦国時代から現在に至るまでが書かれています。諏訪信仰について理解が深まる記事となっています。

祇園信仰

祇園信仰は、疫病除けの神様です。本宮の八坂神社では毎年祇園祭が行われますが、祇園祭は厄災を起こす怨霊を鎮める御霊会が起源とされています。

祇園信仰とは何か？祇園祭や八坂神社の歴史を中心に解説

祇園信仰について、祇園祭や八坂神社、御霊会や歴史をからめて解説した記事です。祇園信仰は京都の八坂神社を中心とした信仰で、もともとは祇園社と呼ばれていたこと、祭神、八坂神社の歴史について紹介しています。さらに関係の深い祇園祭の内容や歴史、全国に広まった祇園祭の例をあげています。八坂神社や祇園祭について深く知ると共に、祭や信仰が今日まで受け継がれてきたことがわかる記事になっています。

白山信仰

白山信仰は、白山を対象とする山岳信仰で、水の神、農耕の神、縁結びの神です。白山神社、白山社、白山比咩神社、白山姫神社が中心とされています。

白山信仰とは何か〜神社や特徴、起源、歴史などを解説〜

白山信仰について神社や特徴、起源、歴史などを解説しています。白山信仰は白山を中心とした仏教色の強い山岳信仰であったことや祭神、全国の分布について説明し、自然崇拝からはじまった白山信仰の起源から、創始者の伝説、神仏集合と天台宗との結びつき、一向一揆の出現による衰退、明治時代の神仏分離による影響から現代に至るまでの歴史を解説しています。また白山は神社のみならず登山や自然でも有名であることを紹介しています。

春日信仰

春日信仰は奈良の春日大社が中心で、藤原氏の氏神であり、雷神や龍神の性格ももちます。藤原氏の氏寺である興福寺とも関わりが深く、広大な所領を背景に信仰が広がっていきました。

春日信仰とは何か？〜藤原氏や興福寺、鹿との関係、祭神や歴史を解説〜

春日信仰について、藤原氏や興福寺との関係や祭神、歴史について解説しています。春日信仰の規模と4柱の祭神、春日造について、奈良公園に数多くいる鹿との関係を紹介し、本殿近くの若宮神社とおん祭についてふれています。さらに春日信仰の歴史を春日大社を中心に、創建のエピソードや、興福寺、藤原氏との関係、神仏習合から神仏分離までを解説し、奈良に行って春日信仰や歴史を感じてみたくなる記事になっています。

三島・大山祇信仰

三島・大山祇信仰は、海上守護の神様であり、山や農耕の神の性格も持っています。三嶋大社や大山祇神社が中心神社であり、武家にあつく信仰されていました。

三島・大山祇信仰とは何か〜祭神や神社、歴史を解説

三島・大山祇信仰について解説した記事です。三島・大山祇信仰は、愛媛県の大山祇神社と静岡県の三嶋大社の両方を総本社とする信仰であり、山の神、海の神、武運の神としての性格が強く、古くから武将、農村で暮らす人々、漁師、海賊など多くの人々に崇敬されてきたことがわかる内容です。祭神の名前や性格を紹介した後、大山祇神社の歴史、クスノキ群、しめ縄、貴重な宝物についての紹介と三嶋大社の歴史を紹介しています。

鹿島信仰

鹿島信仰は、鹿島神宮を中心とした武神であり水の神の信仰です。御祭神である建御雷神（たけみかづち）は天孫降臨に先立ち、国土を平定した神であることから、武運を祈る武将からの崇敬を集めました。

鹿島信仰とは何か？祭神や鹿島神宮の歴史、見どころ、鹿島様について解説

鹿島信仰について、祭神や総本社鹿島神宮の見どころや歴史、民俗行事である鹿島様や鹿島流しなどを解説しています。鹿島信仰の祭神である武甕槌神について神話や性格などを解説したあと、総本社・鹿島神宮の見どころとして例祭、鹿、御手洗池、要石、鳥居を紹介しています。鹿島神宮の創建から現代までの歴史、民俗行事である鹿島様や鹿島流しを紹介しています。鹿島信仰の祭神や鹿島神宮、民俗行事との関係などがわかる内容になっています。

金毘羅信仰

金毘羅信仰は、金刀比羅宮を本宮とした海上安全、雨を祈願する信仰で、御祭神は大物主神といわれています。

金毘羅信仰とは？金刀比羅宮や松尾寺、祭神や今昔のこんぴら参りを解説

香川県にある金刀比羅宮を中心とする信仰である金毘羅信仰。金毘羅信仰は明治以前と以後で大きく変わったことや祭神、もともと習合していた松尾寺、金毘羅大権現について説明したのちに、江戸時代に盛んだったこんぴら参りについて、金毘羅講やこんぴら狗、流し樽という代参の風習、そして現代のこんぴら参りの見どころ、しめ縄についてご紹介しています。こんぴら参りに行く前に読むともっと楽しめる内容です。

まとめ〜神社信仰は氏神信仰と共に根付いてきた信仰〜

平安時代中頃から、日本各地に霊威ある神様をお呼びして祀られてきたのが神社信仰で、神社信仰は氏神信仰とともに、人々の暮らしに根付いてきました。神社の種類は地域によって特色がありますので、あなたの地域にある勧請型神社を探してみてはいかがでしょうか。