神社や神棚などにしめ縄を取り付ける際に、迷うのが向きではないでしょうか?しめ縄の向きにも神社や地域によって違いがあり、意味があります。この記事ではしめ縄の向きの意味や法則について説明します。意味を知れば、取り付けの際に迷うことがなくなるかもしれませんよ。
目次
しめ縄の意味
神社の鳥居や拝殿、手水舎、ご神木、巨石、神社の周り、神様が祭りの際などに立ち寄る御旅所など、さまざまな場所で見られるしめ縄。しめ縄も取り付けられる場所によって意味が微妙に違ってきます。
しめ縄には、神様のいる神域と私たちの暮らす俗世とを隔てる役割や神聖な神様をお迎えするのにふさわしい場所であることを示す役割、邪悪な存在が神域に入らないようにする結界のような役割があります。また反対によくないものを外に出さないようにする意味もあり、しめ縄が取り付けられている場所によって意味が若干変わってくるのです。
しめ縄の向き
しめ縄を綯う向きや取り付ける向きについて見ていきましょう。
しめ縄を綯う向き
しめ縄を作る作業を「しめ縄を綯う」といいますが、この綯う向きにも意味があります。縄は通常、日用品を作る際は右縄と言って右撚りの縄を使いますが、しめ縄など特別なものを作る際には「左縄」と言って左撚りのものを使います。
昔の人は日常的に縄を綯っていましたが、通常慣れた右撚りではなく、撚り方を反対にすることで心を整え、丁寧に作業していたと考えられます。
また、縄を綯う始めのことを「綯い始め」といいますが、この綯い始めから見て、左綯いは太陽の周り方と同じ時計回りなので「火(男性)」を表し、右綯いは反時計回りのため「水(女性)」を表すこともあるので、お祀りしている神様が男神か女神かによって使い分けている場合もあります。
しめ縄を取り付ける向き
もともと日本には「左上、右下」とする考え方があります。この考え方は飛鳥時代に遣唐使を通じて中国から伝えられたものと言われています。さらに「天子南面」といって、北を背にして天皇が南を向くと、日が昇る方(=陽)が東で「左」、日が沈む方(=陰)が西で「右」となる陰陽道の考え方にもつながります。
よって、一般的にはしめ縄も神様から見て左が上位となるように取り付けます。つまり神様に向かって右側が上位となるため、綯い始めを向かって右側に取り付けるようにします。
ただし、神社や地域によって異なる場合があるため、先例に習うのが一番でしょう。
しめ縄の向きが逆になる神社
しめ縄は向かって右側が上位となるように取り付けるのが一般的ですが、中には逆に取り付ける神社もあります。
その代表格が島根県にある出雲大社で、巨大なしめ縄は有名です。なぜ右が上位になっているかというと諸説あり「国譲り」の神話で、大国主命が天照大神に国を譲るよう迫られて、無念の死を遂げたため、大国主大神の御霊を鎮めて内に封じ込めるため逆になっているという話がありますが、はっきりとはしていません。
出雲大社の他にも、奈良県の三輪山をご神山とする大神神社や大分県の宇佐神宮、愛媛県の大山祇神社、国津比古命神社などもしめ縄が右が上位となっています。
神棚のしめ縄とお正月のしめ飾りの向きと意味
神社のしめ縄と同じように、神棚やお正月のしめ飾りにも取り付ける際の向きや意味があります。
神棚のしめ縄の向きと意味
神棚のしめ縄は、ごぼう締めという綯い始めが太く、綯い終わりが細い形をしたしめ縄を飾ることが多いです。このしめ縄の向きも意味によって変わってきます。
基本的には神社と同じく、向かって右に綯い始めの太い方を飾りますが、これを「入り船」と言って商売繁盛を願い、建物(店)にたくさんお客さんが入ってくれるように願う意味もあるので、働きに出てたくさんお給料をもらってくるという意味の「出船」にする場合は左右が逆になります。
また神棚の方向によっても向きが変更になる場合がありますし、人の住む家と神聖な神様のいる神社では違うという認識から逆に取り付ける場合もあります。
伊勢地方のしめ縄
お正月のしめ縄(しめ飾り)で特徴的なのが伊勢地方のしめ縄です。綯い始めが向かって左に来る上に、一年中飾られています。
正面には「蘇民将来子孫之門」と書かれた木札がつけられている場合が多く、伊勢を旅していた須佐之男命を蘇民将来という男が一夜泊めてもてなしたため「蘇民将来の子孫」と書いて門口に掲げておけば、子孫代々病を免れると言い残して去っていったという言い伝えからくると言われています。
まとめ〜しめ縄の向きや意味は多様性にあふれている〜
一般的な法則はあるものの、しめ縄の向きや綯い方、意味には神社や地域によってさまざまな由来や法則があることが分かります。意味を知れば取り付けの際に迷わなくなりますので、ぜひご自分の地域や神社について知識を深め、しめ縄と関わってみてくださいね。