しめ縄は家庭で作れるの?大きなしめ縄はどうやって作っているの?と、しめ縄制作に関する疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、しめ縄の作り方や文化的背景、大きなしめ縄制作の例などをご紹介します。
ぜひ、ご家庭でのしめ縄作りや、神社参拝の際にしめ縄を見て楽しむなどにお役立てください。
1,しめ縄制作の基本
1-1,しめ縄の文化的背景
1-2,しめ縄の基本的な材料
2,家庭でできる簡単しめ縄制作方法
2-1,必要な道具と材料
2-2,簡単な輪飾りの作り方
3,伝統的なしめ縄制作の技術
4,折橋商店は伝統的技術と新しい材料の掛け合わせ
まとめ〜しめ縄制作の基本を知って、自宅でも作ってみよう〜
しめ縄制作の基本
しめ縄はそもそもなんのためにあるのでしょうか?また材料は何が使われているのか、しめ縄制作の押さえておきたい基本事項を解説します。
しめ縄の文化的背景
しめ縄が文献にはじめて登場したのは、日本神話の天岩戸隠れです。素戔嗚尊の乱暴に怒り悲しんだ天照大神が天岩戸に引きこもってしまい、世の中が闇に包まれ災いが起きました。神様たちがあの手この手で天照大神を岩戸から誘い出し、ようやく出てきたときに、二度と岩戸に入っていかないように張ったのがしめ縄だと言われています。
このようにしめ縄には結界や境界を表す意味もありますが、アニミズムの時代から行われていたと考えられるように、滝や巨木、巨石、山の入口など、自然のなかで神様がいる申神聖な場所を表す意味をもっていました。
神社や神棚にも神様がいますし、お正月のしめ飾りも、ただの飾りではなく、歳神様をお迎えする目印として、神様をお迎えするのにふさわしい清浄な場所であることを示すものなのです。
しめ縄の基本的な材料
しめ縄の材料は、稲わら、大麻(おおあさ)、真菰(まこも)、スゲ、合成繊維などがあり、稲わらで作られるものがもっとも一般的です。
稲わらは、日本に稲作が伝わってから長い間身近な存在でした。しめ縄はその年の豊作を神様に感謝し、次の年の豊作を祈願するものとして作られ、地元の神社に奉納されることが多かったのです。
麻も古くから生活の中で使われており、しめ縄に使われる光沢の美しい麻を「大麻」や「精麻」といいます。神社の御幣に麻が使われることからも、清らかなものとしてしめ縄の材料になっていました。
真菰やスゲなどの水辺に生えている、しなやかで強い植物も材料とされてきました。出雲大社神楽殿の大きなしめ縄は稲わらですが、ご本殿や瑞垣のなかにあるお社のしめ縄、茅の輪は真菰で作られており、真菰の神事も行われています。
合成繊維は、数十年の耐久性を持ち、付け替える頻度を減らせるので、小さい神社などからの需要が近年増えています。
他にも加工がしやすい布や紙を使って、クラフトとしてしめ飾りを作ることもありますね。
家庭でできる簡単!しめ縄制作方法
ここでは、家庭でできる簡単なしめ縄の作り方をご紹介します。
お子様と一緒に楽しむこともできますよ。
必要な道具と材料
・稲わら(または紙や布など)
・輪ゴムやワイヤーなど止めるためのもの
・必要であれば飾りやグルーガンなど
簡単な輪飾りの作り方
しめ縄の縄をねじって巻いていくことを「縄を綯う(なう)」といいます。
縄の綯い方はコツが必要ですが、意外と簡単です。
1、稲わらの束を3つに分け、根本を固定する。(重いものを置いたり、足でおさえるなどしてください。)
2、そのうち2本の束を撚りをかけながら編んでいきます。それぞれの束を右回転にねじりながら、交差させていきます。
3、できたら2の縄に残りの一本の稲束を同じようにねじりながら絡めていきます。
先端を固定し、輪っかに形を整えたら、輪飾りの土台ができます。
4、お好きな飾りを飾ったら、しめ飾りの完成です。
※動画で見たい方は、こちらYouTubeを参考にしてみてください。
伝統的なしめ縄制作の技術
ここでは神社を例に、伝統的なしめ縄制作の方法をご紹介します。神社のしめ縄も基本的には3本の束を左綯いで合わせていき作りますが、神社や地域によって、さまざまな方法で作られています。
出雲大社神楽殿大しめ縄
日本最大級の大きさを誇る出雲大社のしめ縄は、2本の大きな縄を合わせて作ります。
まず、専用の田んぼで作られた稲わらの束を中芯に加えていき、直径1.5m、長さ16mの大きな大縄を2本つくり、それぞれ菰をかけて包みます。
この2本の大縄を「大撚り合わせ」で撚り合わせます。大撚り合わせは、2本の大縄の元を支柱に固定し、片方をクレーンで持ち上げ、もう一本を人力で転がすというものです。
撚り合わせたしめ縄は、吊り木に固定され、〆の子をつけます。神楽殿に吊り下げられ、紙垂をつけて完成です。
出雲大社の大しめ縄制作の一連の流れがわかる動画はこちら
【出雲大社】神楽殿 日本一大しめ縄 平成最後の大奉納!!
長野県大洲七椙神社(おおしまななすぎじんじゃ)
大鳥居のしめ縄は、稲わらを3本の束に分けて固定し、3人で協力して撚り合わせていきます。3人でくるっと回って綯い上げていくのが特徴的です。
(参考)長野県大洲七椙神社 大鳥居しめ縄
また、御神木につける細めのしめ縄は、三叉棒とクランク棒を使って、くるっと息を合わせて綯い上げていきます。
(参考)長野県大洲七椙神社 しめ縄(中)
折橋商店は伝統的技術と新しい材料を掛け合わせ
折橋商店では、耐久性、防水性、耐寒性に優れた高密度合成繊維という新しい素材と職人の伝統的な技術でしめ縄を制作しています。
合成繊維といっても、熟練の技術がないと美しいものはできないため、職人たちが手作業で制作しています。
合成繊維のしめ縄は、しめ縄の交換が負担となっている小規模な神社などの助けにもなっています。
まとめ〜しめ縄制作の基本を知って、自宅でも作ってみよう〜
小さなしめ縄は自宅でも簡単に作れますし、インテリアとしてでしたら、飾りも素材も自由に選んで楽しめます。ただ単に作って楽しむのもいいですが、しめ縄の文化的な背景や、材料の意味などを知ると、より興味が深まるかもしれません