お正月のしめ飾りなどの小規模なものと違って、製作や取り付けが大変な神社のしめ縄は、毎年交換するものなのか迷う人や交換の大変さに頭を抱えている人もいるかもしれません。この記事では、神社のしめ縄を交換する頻度と、交換の大変さなどから近年注目されている合成繊維のしめ縄について解説します。
しめ縄の意味
しめ縄は日本神話の「天岩戸神話」で、岩戸から出てきた天照御大神が再び岩戸へ戻らないようにしめ縄を張ったのが起源と言われています。
しめ縄は神様のいる神聖な神域と私たちの暮らす俗世とを隔てる役割や神様をお迎えするのにふさわしい場所であることを示したり、神様の依代とわかるようにしたりする役割があります。また境界や結界として、立ち入り禁止や邪悪なものが出ていかないようにするなどざまざまな意味があります。
しめ縄の交換頻度・時期
お正月のしめ飾りなどは、松の内まで飾ってから処分し、毎年新しいものに交換するのが一般的ですが、神社などの大きなものになると交換も大変になるため、交換頻度は神社によってまちまちなようです。
神社のしめ縄の交換頻度や時期は神社によりますが、福岡県にある宮地獄神社など毎年年末に交換してから新たな年を迎える神社や、例大祭などに合わせて交換される神社、出雲大社など不定期に交換される神社などがあります。また小さな神社や氏子が少ない地域の神社などでは、頻繁な交換がしづらいのも現状です。
頻度の高いところでいうと三重県二見興玉神社の夫婦岩のしめ縄は、潮風や海水で痛むのが早いため、5月・9月・12月の年3回交換が行われていますが、頻度の少ないところでいうと神奈川県本牧神社の大しめ縄は、節目の年に合わせて22年ぶりに交換されたとのことです。
しめ縄の素材
しめ縄の素材は、伝統的に「稲わら」「大麻(おおあさ)」が主流でしたが、近年では「合成繊維」のものも増えています。
稲わらは、稲作民族である日本人にとって特別なものであり、神聖なものとされてきました。しめ縄用の稲わらは、稲を刈り取った後のものではなく、夏に刈り取られた出穂前の青々とした稲がよいとされてきました。現在でもしめ縄専用の田んぼはありますが、数が限られています。
大麻は、伊勢神宮のお札に「神宮大麻」と記されているように、神様の依代であり、神聖なものとされてきましたが、稲わらにも増して、国産の大麻の栽培農家も減っており、より貴重なものとなっています。
合成繊維の需要が増えているワケ
前述の通り、稲わらや大麻の栽培農家が高齢化などにより減少していることに加え、以前なら比較的容易に手に入ったであろう、太くて長い稲わらの入手が難しくなっている問題もあります。昔は稲刈りの際は手で稲を刈り取り、稲木にかけて干していましたが、現在はコンバインを使うため、刈り取る際にわらを裁断してしまうのです。
また、神社の太くて大きなしめ縄を作るには熟練の技術が必要ですが、高齢化などにより後継者が不足し、技術を持つ人が少なくなりつつあることも挙げられます。ゆえに以前なら、氏子が集まりしめ縄を作っていたのが、地域の人々だけでは対処できなくなってきました。
なかには氏子が集まってしめ縄を作ったり、伝統を後世に残そうとしめ縄を作るイベントを行ったりしている神社もありますが、氏子自体が少ない小さな神社などでは、氏子で作ることや資金をあつめて発注するのも毎年では大変なので、手間とコストを考えた時に初期費用はかかっても数年間付け替えの必要がない合成繊維が選ばれるようになってきたのです。
合成繊維のしめ縄に抵抗がある方へ
とはいえ、自然物ではない合成繊維のしめ縄になんとなく抵抗がある人もいるかもしれません。
しかし合成繊維といっても全て機械で作られるわけではなく、鳥居や拝殿の大きさが神社によって違うことからもわかるように、熟練された職人がひとつひとつ伝統技術にのっとって手作業で作っています。
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また、稲や大麻のしめ縄よりも耐久性や防水性、耐寒性に優れているため、雨や雪や日光などの影響を受けやすい鳥居でも長年美しさが保たれます。石や木で作られた鳥居や拝殿に風合いが合うのか気になるところですが、発色が鮮やかな黄金のみのりを表した色をしており、取り付けてみると神社がぱっと華やぐ感覚になります。由緒正しい神社でも心配ありません。
まとめ〜しめ縄の交換頻度は神社によるが、長年交換いらずの合成繊維も便利〜
しめ縄は必ずしも毎年交換する必要はなく、神社によりさまざまです。近年では、稲わらや大麻などの材料の調達が難しくなりつつあることに加え、しめ縄を綯う技術を持つ人が減り、氏子が少なくなるなど、交換の大変さが増している神社もあります。困ったときは天然素材と比べても遜色なく、交換の手間がかからない合成繊維のしめ縄を検討してみるのもいいかもしれませんね。