氏子とは、氏神神社がお守りする地域に住んでいる人のことを指します。氏子と氏神神社の関係は形を変えながらも大昔から受け継がれてきたものです。この記事では氏子と神社の関係や氏子になる方法、氏子の仕事・役割などを分かりやすく説明します。
目次
氏子とは?
氏子とは氏神神社と同じ地域に住み、氏神様を信仰する人たちのことです。氏子の始まりはもともとは血縁に基づく、一族の守護神や祖先神の意味合いを持っていました。
しかし時代が下るにつれて、氏族から家単位へと分かれて行き、同じ土地に血縁者以外の者も住むようになっていくと、地縁的なつながりが重視されるようになります。そのため生まれた土地の守り神である「産土神」や特定の土地や建造物を守る「鎮守神」をも全て氏神様として祀るようになりました。
氏子は氏神様と共に生活し、信仰し、祭礼に参加する人のことを指すようになり、今日に至っています。
氏子と神社の関係
氏神は氏子の平和と安寧を守る神です。氏子は人生におけるさまざまな節目で氏神神社を参拝し、それまでお守りくださったことに感謝したり、これからも健やかに幸せに暮らせるよう祈願します。また、氏神のお祭りに参加し、寄付や運営の補助をします。山車を引いたり神輿を担いだりするのも氏子としての立派な勤めなのです。
氏子になるには「氏子入り」の儀式が必要?
現代では、新しい土地に引っ越しても、軽くお参りをする程度で済ませ、初詣や祭りなどで氏神神社を知る方もいますが、地域によっては氏子入りを執り行うところもあります。
現代で最も残っている「氏子入り」として、赤ちゃんが生後1ヶ月頃にする「お宮参り」があります。氏神様にその土地の一員として認めてもらう意味があり、その時赤ちゃんを泣かせたり、額に墨をつけたりすることがあります。
ただ、現在ではこのような意味を重視する風潮もあまりなくなってきており、氏神神社ではなくその他の神社にお宮参りをしても問題ないと言われています。
また7歳、15歳で改めて氏子入りをする地域もあります。7歳での氏子入りは、子どもの死亡率の高かった時代に、生死は神様に委ねられており、7歳までは「神の子」と考えられ、その時期を無事通過して初めてひとりの人間として認められる意味がありました。15歳は成人式の意味もあり、一人前と認めるものでした。
さらに、他の地域からきた嫁や婿が結婚式の直後に氏子入りの儀式をする地域や、子どもが生まれても、宮参りではなく、秋祭りに合わせて氏子入りする地域もあります。「氏子入り」の際には、お供えのお酒と初穂料を納め、祈祷してもらい、お札やお守りを授かることが一般的です。
氏子の役割・仕事
氏子は氏子の代表である氏子総代を中心に、お祭りの参加や神社への寄付、運営の手伝い、境内の清掃、しめ縄の作成などに関わります。お祭りの際には裏方仕事から、神輿や山車を引くなどがあります。
氏子総代は宮司さんと協力して神社を運営・維持する役目があります。仕事内容としては神社のお祭りの運営や進行、神社の掃除、お札の販売や寄付を集める、お賽銭の管理、関係する他の神社へのお参りなど多岐に渡ります。
氏子のいない神社もある
全国の神社が全て氏神神社であるかというとそうではありません。全国の神社は天照大神をお祀りする伊勢神宮を別格として、他の神社は氏神神社と氏子のいない崇敬神社に分けられます。
氏子のいない神社「崇敬神社」とは?
血縁関係や地縁関係ではなく、個人の特別な信仰により崇敬される神社のことをいいます。信仰する人のことを氏子ではなく、崇敬者といい、崇敬者はいわば神社のファンクラブとも言える「崇敬会」に入会することで、神社の維持や活動に協力できます。
崇敬神社は意外と数多くあり、太宰府天満宮や出雲大社、明治神宮、八坂神社、平安神宮、橿原神宮など有名かつ大きな神社が多いのが特徴です。
複数の神社を信仰することは可能?
氏神神社と崇敬神社の両方を信仰することは問題ないとされており、複数の崇敬会に入会することも可能です。神棚にも複数のお札を納める場所がありますし、旅行に行った際に、旅先の神社にお参りすることも全く問題ありません。
まとめ〜氏子と氏神神社は持ちつ持たれつの関係〜
氏子とは、氏神神社が守る地域に住む人々のことであり、日頃から氏神様に守られている存在です。氏子は氏神神社のサポーターでもあり、協力して神社の運営や維持に勤めます。氏子と氏神神社は互いになくてはならない存在なのですね。