お正月のしめ飾り。地域によって形や縁起物などのデザインが違い、見ているだけでも楽しいですよね。しかし、しめ縄を片付ける日時やタイミングも地域によって異なるため、迷われる方もいるでしょう。この記事では、お正月のしめ飾りを飾っておく日時や地域別のタイミング、処分方法もあわせてご紹介します。
お正月としめ飾りの意味
お正月は歳神様をお迎えする行事です。歳神様は、五穀豊穣の神であり、祖霊の神であるため、子孫繁栄や五穀豊穣に深く関わる神様であり、家族でお迎えして一緒に祝い、幸せを願うのです。
玄関につけるしめ飾りは、歳神様をお迎えする目印になり、家の中が神聖であることを示します。また、不浄なものが家の中に入ってこないようにする意味もあります。
ちなみに同じお正月飾りで門松は、神様をお迎えする目印で、左右で一対で家の門に飾るのが習わしです。もともとは松だけを飾る松飾りでしたが、室町時代以降に、生命の象徴である竹が取り入れられて現在の形になったといわれています。
鏡餅は、歳神様の家のなかでの居場所「依代」となります。
地域別しめ飾りを飾る期間
お正月飾りを飾り、歳神様とともに過ごす期間を「松の内」といいます。この松の内は地域によって異なり、それにともない鏡開きの時期も異なります。地域別にご紹介します。
北海道
北海道の松の内は1月7日までが多く、1月7日の夕方、日没までしめ飾りを飾るのが一般的です。鏡餅は1月11日の鏡開きまで飾ります。
松の内が終わると、しめ縄などを持参して神社に参拝することが多く、1月15日前後に「古札焼納祭」(どんど焼き)が開催されます。
関東
関東地方では、松の内は1月6日の夜または1月7日までといわれています。門松やしめ飾りを1月7日朝まで飾り、外した後に七草粥を食べるのが一般的です。
関東地方の松の内はかつては1月15日でしたが、江戸時代に、3代将軍徳川家光が4月20日に亡くなります。そのため20日の月命日と、鏡開きが重なるのはよくないとのことから、11日に前倒しで行い、松の内も早まったといわれています。また江戸は火事が多く、松は引火しやすいため、火災防止の目的もあったようです。
鏡開きの11日は、江戸幕府の蔵開きの日でもありました。蔵開きとは、年末に閉じた蔵を新年になってはじめて開くことで、鏡開きと通じるものがあったのかもしれません。
関西
関西地方や四国地方では、1月15日の小正月までが松の内とされており、鏡開きも15日に行います。
また、1月1日から1月7日までを男正月、1月15日の頃を女正月と呼ぶ地域もあります。これは、男正月の期間には、女性はお正月の料理の支度や訪問客の接待などで忙しいため、それが落ち着く小正月の頃には女性も休むようにという意味があるのです。
ちなみに京都の一部地域では鏡開きが1月4日に行われます。
名古屋
関東と関西の文化の両方をうけている名古屋では、関東にあわせて1月7日までを松の内としている地域が多いですが、関西と同様に小正月の1月15日までを松の内として、鏡開きを15日や20日に行う地域もあります。
九州
九州地方の松の内は、7日、8日、10日、15日と地域によって異なりますが、1月7日が多いといわれています。その理由は、福岡県久留米市の大善寺垂宮で「鬼夜」という火祭りが7日にあるためではないかという説もあります。「鬼夜」とは、鬼会の期間の最終日のことで、鬼会は大晦日から1月7日の期間のことを指し、「大善寺玉垂宮の鬼夜」は国の重要無形民俗文化財に指定されています。
沖縄
沖縄では、新暦でのお正月と旧暦でのお正月があり、両方行う家庭もあります。
新暦で行う正月の場合は、14日に取り外し、15日のどんど焼きでお焚き上げすることが多いですが、二十日正月にあたる1月20日まで飾る地域もあります。
また、旧暦の1月16日に行われる「十六日」と呼ばれる死者のためのお正月もあります。
しめ飾りを外す時間に決まりはある?
しめ飾りを外す時間帯にはっきりとした決まりはありませんが、以下のようにいくつかのパターンがあります。
時間帯は都合の良い時で良さそうですね。
・1月6日に、日が落ちたら日付が変わると考えて、日没後に外す。
・江戸では防火のために「松飾りは7日の朝取り外すように」と言うお触れが出たため、1月7日に外す。
・1月7日の夜、日が落ちたら日付が変わると考えて、7日が終わったため外す。
・1月7日いっぱいは飾っておこうと考えて、1月8日の0時から早朝に外す。
しめ飾りの処分方法
しめ飾りの処分には3つの方法があります。
地域によっても異なりますので、ご自身の都合とあわせてお考えください。
地域のどんど焼きでお焚き上げする
ひとつめは地域のどんど焼きにもっていくという方法です。どんど焼きとは、1月15日ごろに行われる小正月の火祭りの行事です。年神様を煙とともにお見送りする送り火であり、縁起物を燃やすことで、五穀豊穣や家内安全などを願います。
神社でお焚き上げしてもらう
神社でどんど焼きをする場合もありますが「古札納所」に納め、後日神社でお焚き上げしてもらう方法があります。
神社によって受け入れているものや時期が違いますので、事前に確認してから納めるようにしましょう。
地域のゴミとして出す
どんど焼きにも神社にも持っていけない場合は、自治体の決まりに従って分別し処分します。白い紙にお飾りをのせ塩振って清めてから捨てるとより良いでしょう。
まとめ〜地域の風習を知れば、お正月がより楽しくなる〜
日本人が当たり前に過ごしているお正月ですが、地域によって特色があり、お正月や飾りそのもの、飾る期間にも意味があります。家族で新年を祝う行事から一歩踏み込んで、昔から受け継がれてきたことの意味や由来を考えると、よりお正月が楽しくなるでしょう。