日本各地でさまざまなお祭りが行われています。お祭りというのは、単なるイベントではなく、神様と日本人の関わりの古い歴史があるのです。お祭りの本来の意味を知れば、日本各地で行われるお祭りへの見方が変わるでしょう。また、しめ縄との関わりやお祭りの例もご紹介します。
お祭りの意味
そもそも日本の神道では、自然のなかに宿る神々を信仰しており、あらゆるものに神が宿る「八百万の神」という考え方があります。
祭りの起源は、神様に「たてまつる」こと。神様を招いておもてなしをする宴であり、神様にさまざまなものをお供えし、「神まつり」をします。神様がいらっしゃると、感謝を伝えたり、五穀豊穣や厄除けなどの祈りを込めます。
しめ縄の起源と祭りの起源の深い関係
お祭りの起源は、しめ縄の起源でもある「天岩戸隠れ」の日本神話にあると考えられています。
「天岩戸隠れ」とはどんな話かというと、天照大神(あまてらすおおみかみ)が、弟の素戔嗚尊(すさのおのみこと)の乱暴狼藉に怒り悲しみ、天岩戸に隠れてしまいます。太陽の神アマテラスがいない世は、暗く災いが多い世界となり、混乱に包まれました。このような状況を打破しようと、高天原の神々は岩戸の前で、踊り盛り上がりました。その楽しそうな様子に誘われて、岩戸から天照大神が出てきたという話です。
この話は、しめ縄の起源ともいわれており、天照大神が岩戸から出てきた際に、2度と岩戸に戻らないように、張った縄がしめ縄といわれています。
祭りの種類
全国各地で特色のある祭りが行われていますが、いくつかに分類することができます。
御神輿や山車が登場する祭り
御神輿は神様の乗り物で、氏子地域を回ったり、離れた場所の御旅所へ移動したりします。
神輿が初めて記録されたのは749(延暦13)年のこと。宇佐八幡宮の神霊を迎えた際の記録がはじめてといわれています。
神輿は激しいほどに神様が喜ぶという考え方もあり、神輿を揺さぶったり、階段を一気に上り下りしたり、火や泥の中に入れてしまう祭りもあるほどです。
また、神輿は神様の乗り物なので、人が乗ることはできませんが、車輪のついた山車は乗ることができます。なぜかというと、山車は神様をおもてなしする場所であり、山を模した形をした最も高い部分に神様が降りてくるためです。
神輿も山車も、神様が喜ぶようにと華やかな装飾がなされています。
火祭り
火に特別な力が宿るとの信仰は、世界中にみられます。日本の火祭りには、火を焚いたり、松明をつかったりするものから、熱した炭の上を歩いたり、火の中に飛び込んだりと危険を伴うものもあります。
綱引き
運動会の種目として馴染み深い人も多い綱引きも、神事です。雨乞いや豊作祈願のために、巨大な蛇や龍を表した大綱を引きます。有名なのは沖縄県の那覇大綱曳きまつりで、「米藁で製作された世界一の綱」としてギネスに認定されています。
来訪神
来訪神とは、毎年決まった時期に人間の世界に来訪する神様または神様の使者で、秋田のナマハゲや宮古島のパーントゥ、能登アマメハギなどがあります。
この他にも、先祖を供養するための仏教に由来する踊りである「盆踊り」やふんどし姿などの裸に近い姿で行われる「裸祭り」、花火なども祭りといえます。
「しめ縄」と名のつく祭り
日本の祭りにはさまざまな種類がありますが、「しめ縄」と名のつく祭りがありますのでご紹介します。
二見大祭しめなわ曳
三重県伊勢市で毎年7月に行われるのが、夫婦岩に張り替えられる大しめ縄を奉曳車にのせて、二見興玉神社へ奉納する伝統行事です。二見大祭しめなわ曳では、5本の大しめ縄が木遣音頭や法螺貝の音に合わせて、夫婦岩表参道を練り歩きます。
赤城神社大しめ縄行事・大祭
千葉県流山市の赤城神社にて、氏子が大きなしめ縄をつくって奉納し、山門にとりつける祭りです。毎年10月に行われ、住民が4班に分かれてしめ縄を作り、最後にひとつに撚り合わせて完成させます。完成したしめ縄の長さは約6.5m、重さは500kg以上あるそうです。
また、1週間後の例祭では、御神輿が境内の急な階段を一気に駆け上がります。
下関・しめなわ祭
毎年12月10日に関門海峡で行われるしめなわ祭は、壇ノ浦海中の大石に神官がしめ縄を張る神事です。昔、大雨・台風・火災・疫病などが続いたときに、倒れている大石を起こせば、災害がなくなるという神のお告げをうけ、大石を起こしたところ災いがなくなったという故事に由来しています。
まとめ〜人々をつなぐ祭りは重要な意味を持っている〜
神様をおもてなしする宴やしめ縄と同じ日本神話がルーツとなっている、日本のお祭り。祭りは、神様に感謝と祈りを捧げるとともに、そこに集う人々のつながりを強める働きを持っています。
御神輿などの盛り上がる場面や賑やかな屋台などが注目されがちですが、本来、お祭りは神様のためのものです。祇園祭が八坂神社の神事とともに行われるように、氏神神社の秋祭りでも、御神輿巡行が始まる前に行われる神事に注目してみたり、お祭りの由来を調べてみたりすると、より理解が深まり楽しめるでしょう。