地域の代表として神職と協力し、神社の保持や祭祀の運営などをする役割を「宮総代」、「氏子総代」、「神社総代」といいます。
この記事では、宮総代の仕事内容やしめ縄作り、なぜ宮総代、氏子総代という呼び方の違いがあるのかについて解説します。
宮総代とは?
宮総代とは、氏子の代表であり、神社の宮司と協力して、祭祀や神社の保持のための活動をする役割です。多くの場合、氏子のなかでも信頼のある人物が選任されます。
氏子とは、自らが住んでいる土地を守っている氏神様に帰依し、守護を受けている人々のことをいいます。
本来は、氏族の神様という意味で血縁関係に関わるものでしたが、時代が進むにつれて、その地域に住み信仰をしている人のことを指すようになりました。
宮総代、氏子総代、神社総代の違いは、神社の呼び方の違い?
結論からいうと、宮総代、氏子総代、神社総代は同じものと考えてよいでしょう。
呼び方がいくつかあるのは、神社そのものの呼び方に種類があるためです。
以下で神社の呼び方の違いをご紹介します。
神社には「出雲大社」や「北野天満宮」、「稲荷神社」など呼び方に違いがあります。
これは格式が関わっており、それぞれの違いは以下の通りです。
神社
「神社」は日本古来の神をまつる一般的な施設のことで、神社と呼ぶのに特に決まりはありません。
社
「社」は神社のなかでもおもに規模が小さいところをいいます。
大社
「大社」は、もともとは島根県の出雲大社のみに使われた呼び方でしたが、戦後に名乗る神社が増え、現在では全国に24社あります。
ただ、どの神社でも名乗れるわけではなく、平安時代に定められた社格の制度のなかで、「官幣大社」「国幣大社」という高い社格をもつ神社が名乗れるとされてきました。
祭神と神社名を共有している神社を束ねる役割も大社にはあり、例えば「伏見稲荷大社」は、全国に数多くある「稲荷神社」を統括してるのです。
神宮
「神宮」は、皇室と深い関わりを持つ特別な神社のことをいい、全国に24社あります。
神宮にも種類があり、大きくわけて伊勢神宮のような皇室の祖先神を祭神とする神社、明治神宮のような歴代の天皇を祭神とする神社、「東照宮」や「天満宮」など伝統的に呼ぶ神宮があります。
神宮は「〇〇神宮」または「〇〇宮」と呼ばれることからわかるように、「宮総代」は神宮系の神社の氏子総代が呼ばれる場合が多いといえるでしょう。
宮総代の仕事内容と役割
宮総代の仕事はおもに神社の管理や運営、地域との橋渡し役であり、その内容は神社や地域によって特色があり、多岐に渡ります。
おもな仕事内容を紹介します。
神社の維持管理や運営
宮総代の大事な仕事のひとつに日常的な管理業務があります。
神社の室内の清掃や境内の清掃など、神社の環境整備をして、神社の維持、継承に努めます。
また、年の初めに神棚のお札を新しいものに交換するため、新しいお札を地域の人へ配る、または販売所で売るなどを行います。
行事や祭礼の運営
神社には、祈年祭・新嘗祭、例祭、例大祭など数々の祭礼がありますが、これに関わる業務も宮総代の重要な仕事です。
祭礼の運営では、飾り作りや清掃、祭壇作り、旗をたてる、幣束作り、祭礼への参列、神饌の上げ下げ、後片付けなどを行います。
正月にむけた準備では、しめ縄作りや付け替え、門松作り、初詣の準備、参拝者への対応などが主な仕事です。境内でお焚き上げをおこなう場合は、火の管理や消防団との連携なども必要になります。
神社と地域の橋渡し
宮総代は、神職(宮司)と地域との橋渡し役でもあります。
神職の業務を助け、地域の人々に知らせる広報活動や寄付金集めなどを行います。
総代会への参加
神社によっては「氏子総代会」が結成されていることがあります。
地区ごとに氏子総代が任命され、複数人で運営していくための会則やルールがある場合があります。
また神社本庁が統括する「全国神社総代会」という組織があります。これは全国の約40万人の氏子総代による組織で、毎年定期大会や研修を実施しています。
しめ縄作りも宮総代の大事な仕事
多くの神社では、しめ縄を氏子が作り地域の氏神神社へ奉納することが古くから行われてきました。
氏子たちは、稲わらや茅などの材料を準備し、集まって作り、協力して掛け替えます。
こちらも神社によって方法や慣習はさまざまであり、毎年の掛け替えを行う神社や数年に一度の神社、高齢化や後継者不足によって継続が困難になり、合成繊維のしめ縄に切り替える神社もあります。
このような神社にとって大切なしめ縄作りの舵取りをするのも、宮総代の大事な仕事なのです。
宮総代になる方法
宮総代の任命のされ方は地域や神社によってさまざまで、氏子たちの話し合いで決めるケースや名簿の順番で割り当てられることもあります。
宮総代になるには、まずは氏子になり、地域に住む氏子の人々との人間関係を構築することです。神社の行事や奉仕活動への参加によって、宮総代の仕事内容も知ることができるでしょう。
まとめ〜宮総代の仕事は神社にとって重要〜
宮総代の仕事は多岐に渡り、神社の運営や継承、祭りの遂行に欠かせない役割です。神社と地域との橋渡し役でもあり、しめ縄作りでも中心人物として舵取りをします。
後継者不足に悩む地域もあるのが実情ですが、神社にとって重要で名誉のある仕事なのですね。