古来より、馬は人々の生活や文化と深く結びつき、神聖な存在としても崇められてきました。この記事では、午年の干支の意味から、馬と神仏の繋がり、日本の歴史における馬の役割を紐解き、午年生まれの方や、午にまつわるおすすめの神社をご紹介します。
午年の干支の意味
十二支の一つである午(うま)は、活力、躍動感、力強さ、健康、豊かさを表し、勢いよく駆け抜ける馬のイメージから、素早さ、行動力や決断力、前向きな姿勢を象徴しています。午年生まれの人は、明るく社交的で、行動力があるためチャンスを逃さないと言われています。
また、午年は停滞していた状況を打破し、新たなことに挑戦するのに適した年とも考えられています。この年に努力を始めることで、その勢いに乗って物事が発展していくことが期待できるでしょう。
また、「午」という漢字は、もともと「杵(きね)」に由来し、餅をつく際に、交互に打つ動作をすることから、交差や切り替えるという意味も持ちます。さらに「突き当たる」という意味もあり、草木の成長が最盛期に達してその勢いが衰え始める段階を意味しているともいわれています。
馬と神様との関係
世界各地で、馬は神聖な生き物として崇められてきました。その力強い姿やスピード感から、神様の乗り物や使者として考えられてきたのです。
日本においても、馬は古くから神聖視されてきました。神話には、神様が馬に乗って現れる場面や、白馬が吉兆を示すといった記述が見られます。
神社では、神馬(しんめ)と呼ばれる生きた馬が飼育されたり、馬の絵馬が奉納されたりする習慣があります。神馬は、神がのる馬として神聖視された馬で、神社に奉納されたり、祭りに登場したりしました。
かつては祈雨には黒毛、祈晴には赤毛など、目的によって異なる毛色の馬を奉納することもありました。しかし、本物の馬を奉納することや世話をすることは大変であるため、絵馬、木造の馬、石像の馬を奉納するという風習に変わっていきます。
馬と日本人の歴史
日本における馬の歴史は古く、弥生時代にはいなかったと言われていますが、古墳時代にはすでに馬の埴輪が出土しています。農耕や荷物の運搬、そして戦の道具として、馬は人々の生活に深く根ざしていました。平安貴族のあいだでは古馬式競馬が流行り、鎌倉時代になると、騎馬武者が出現したり、流鏑馬などの騎芸がさかんになりました。
江戸時代になると、庶民の間でも馬は旅のお供や農作業のパートナーとして重要な役割を果たします。街道には多くの宿場が設けられ、馬を休ませるための施設も整えられました。
このように、馬は日本の歴史の中で、単なる動物以上の存在として、人々の暮らしや文化、そして信仰に深く関わってきたのです。
午年にまつわるおすすめ神社5選
午年にゆかりのある神社や、馬にまつわるご利益があるとされる神社をご紹介します。
賀茂神社(滋賀県近江八幡市)
賀茂神社の創建は約1300年前。吉備真備によって、日本の災いを封じ、国民の安寧を願うために建てられました。社殿の向きが、神社では珍しい南西(裏鬼門)を向いているなど、陰陽道の技が至る所にみられます。
この神社は、日本初の国営牧場が作られた競馬の聖地でもあります。天智天皇が開いた牧場では、馬の調教や繁殖が行われていたといいます。毎年5月の賀茂祭では、神事として古式競馬の「足伏走馬(あしふせそうめ)」が行われています。
上賀茂神社(京都府京都市)
上賀茂神社では、毎年5月5日に行われる競馬神事「賀茂競馬(かもくらべうま)」が有名です。この神事は寛治7(1093)年から行われており、天下泰平、五穀豊穣が祈願されます。
約1300年前に社殿が作られたといわれる上賀茂神社は、本殿と権殿が国宝に、他のさまざま建物も重要文化財に指定されています。
下鴨神社(京都府京都市)
騎射流鏑馬神事で有名なのが、下鴨神社です。毎年5月3日に糺の森の馬場で行われる葵祭の前儀です。射手は馬に乗って、400mある馬場を駆け抜けながら矢を放ちます。
また、神迎えの神事である御蔭祭(みかげまつり)において、ハイライトの神事では、神様は馬の背にのって移動し、東遊(あずまあそび)をご覧になるとされています。
荒川駒形神社(岩手県遠野市)
中世に佐々木氏が馬産の神を祭ったことからはじまったといわれる神社。由緒には神霊が乗った白馬を和尚が書き写そうとしたところ、片耳を写す前に消えてしまったことから、片耳のない白馬のご神体が祀られています。毎年の例祭には、神馬が参詣します。
貴船神社(京都府京都市)
京都にある貴船神社は絵馬発祥の地といわれています。古来より、雨乞いの際には黒い馬、雨を止ませたいときは白い馬を奉納していましたが、次第に「板立馬」が平安時代に奉納され、これが絵馬の原型になっていきました。本宮には黒と白の馬の銅像が祀られています。
まとめ|馬と神様、そして日本人には深い関係がある
古来より人々と深く関わってきた馬は、神聖な存在として、また生活を支えるパートナーとして、日本の文化に欠かせない存在でした。今回ご紹介した神社以外にも、全国には馬にまつわる神社や伝承が数多く存在します。ぜひこの機会に、あなたの住む地域や興味のある場所の神社を訪れてみてください。