地鎮祭とは、家を建てる前に行う儀式で、土地の神様にご挨拶し、工事の無事や家内安全を願います。この記事では、地鎮祭を行う意味や歴史、神様、しめ縄の張り方、地鎮祭のマナーや流れを解説します。地鎮祭の意味やマナーを知ることで、家族の思い出や経験にもなるよりよい時間となるでしょう。
地鎮祭とは
地鎮祭とは、家を建てる工事の前におこなう儀式のことです。土地の神様に建物を建てて住むことのご挨拶、建築工事の安全祈願、住む人の家内安全や繁栄を祈ります。
一般的にはこの記事でも紹介する神式で行いますが、仏式やキリスト教式もあり、その際は起工式と呼ばれます。
地鎮祭の歴史
地鎮祭は今から1200年以上前にはじまり、持統天皇(在位690〜697年)が藤原京の造営に先立って「鎮め祭らしむ儀式」が行われていたと「日本書紀」に書かれています。
また、さらにさかのぼると、弥生時代の高床式住居の土の中から「鎮物(しずめもの)」と呼ばれる勾玉が出土した例もあるので、かなり古い時代からルーツがあるのですね。
ただ、一般的に行われるようになったのは江戸時代後半になってからで、建築技術が向上し、人々の家への関心が高くなったためと考えられています。
地鎮祭の神様
地鎮祭の時に呼ばれる神様は、土地の神様で、氏神(大地主大神)、産土神、鎮守神といった土地の神様です。
厳密にいえば、氏神はその一族の守り神であり祖先神・守護神で、産土神はその者が生まれた土地の神、鎮守神はその土地に鎮まり、土地や住民を守る神様のことですが、現代では混同されている場合も多く、近所の神社に頼む人も多いようです。
地鎮祭のしめ縄の張り方
地鎮祭で使うしめ縄は左撚りにした細長い「左縄」で、太さは6mm以上のものが一般的です。
しめ縄は建設予定地の中央に作られる祭壇を囲むように張ります。
祭壇の四方に忌竹(いみだけ)を4本立て、竹の上部約2mの高さで北東の隅より時計回りに張ります。1本のしめ縄を途中で切ることなく一周巻くのがポイントですよ。
さらに、しめ縄には紙垂(しで)という白い紙をつけます。紙垂は祭壇からみて表側を神様へ向けるようにつけ、しめ縄と紙垂をつけることで、俗世界と神聖な場所の境界ができます。
しめ縄で囲まれた祭壇は南向きにし、中央には祭壇と神籬(ひもろぎ)を設けます。神籬とは、臨時に神を迎えるための依代となるもののこと。さらに盛砂や神饌も用意し完成です。
地鎮祭のマナー
ここで地鎮祭の気になるマナーをご紹介します。
地鎮祭はいつがいい?
地鎮祭は吉日とされる「大安」「先勝」「友引」の午前中を選ぶとよいと言われています。また、古くから雨は土地を浄めるため、地鎮祭に雨が降ることは縁起がいいとされ、延期もせず実施されます。
地鎮祭のマナー・服装
地鎮祭での服装に決まりはありませんが、神事ですので、フォーマルな服装が一般的です。個人宅の場合はそこまでかしこまる必要はないですが、ジャケットやワンピースといった、清潔感のあるきちっとした服装がおすすめです。
また、地鎮祭のあとにご近所に挨拶回りをする場合もあるので、服装には気をつけたいですね。
地鎮祭の流れ
地鎮祭の一般的な流れは以下のようになります。
・手水
水で手を洗い心身を清める
・修祓(しゅばつ)の儀
参加者や御供物を祓い清める
・降神(こうしん)の儀
その土地の神様や氏神様をお迎えする
・献饌(けんせん)の儀
祭壇に神様のお食事である神饌をお供えする
(神饌は、米、酒、魚、海藻、野菜、果物、お菓子、塩、水などをお供えします)
・祝詞奏上(のりとそうじょう)
神様への報告や工事の安全祈願
・四方祓(しほうはらい)
土地の四隅を祓い清める
・地鎮の儀(鍬入れの儀)
鍬入れ、鎮物(しずめもの)を埋納し、土地を清める
鍬入れは施主が「エイ」という掛け声とともに、盛砂を掘る
(鎌・鋤・鍬を入れる場合もあります)
・玉串奉奠(たまぐしほうてん)
神様に玉串を捧げる
・撒饌(てっせん)の儀
御供物を下げる
・昇神(しょうしん)の儀
神様をお送りする
・直会(なおらい)
参列者でお下げした神饌をいただく
(現代では省略する場合もあります)
まとめ〜大事なお家だから、心を込めて準備して参加しよう〜
地鎮祭は家を建てる前の大事な儀式です。神様へのご挨拶やこれからの工事の安全、家ができた後の家庭の繁栄を祈るだけでなく、家族の思い出や子どもがいる場合にはよい経験にもなるでしょう。心を込めて準備し参加したいですね。