年に1回または2回、夏越の祓と年越の祓に、各地の神社で行われる「茅の輪(ちのわ)くぐり」。「茅の輪」とはしめ縄の一種であり、くぐり方には作法があります。
この記事では、茅の輪くぐりの意味や由来、くぐり方、行事食についてご紹介します。意味や作法を知って、厄祓いしましょう。
茅の輪くぐりとは?
茅の輪くぐりは毎年6月と12月に行われる「大祓」にて行われます。6月の大祓は「夏越の祓(なごしのはらえ)」、12月は「年越しの祓」といい、夏越の祓の方が全国的に行われています。茅の輪をくぐることで半年間の穢れを祓い落とし、心身を清め、次の半年も無事に過ごせるようにと祈願する神事です。
「茅の輪」のくぐり方
茅の輪はこの大祓の際に用いられる祭具で、チガヤというイネ科の多年草や他の植物を用いて作られる大きな輪のことです。
茅の輪のくぐり方は、以下のような方法が一般的です。
1、まず茅の輪の前に立って軽く礼をし、左足からまたいでくぐり、左回りに回って元の位置に戻ります。
2、茅の輪の前で軽く礼をします。右足からまたいで輪をくぐり、右回りに回って元の位置に戻ります。
3、茅の輪の前で軽く礼をします。左足からまたいでくぐり、左回りに回って元の位置に戻ります。
4、茅の輪の前で軽く礼をします。左足からまたいで輪をくぐり、ご神前まで進みます。二拝二拍手一拝の作法でお参りします。
(神明社HPよりhttps://www.shinmeisya.or.jp/html/tinowa01.html)
つまり、左回り→右回り→左回りと8の字を描くようにぐくります。
唱え詞を唱えよう
茅の輪をくぐりながら「唱え詞」を唱える場合があります。
代表的な唱え詞は、以下の
「祓へ給ひ 清め給へ 守り給ひ 幸へ給へ(はらいたまい きよめたまえ まもりたまい さきわえたまえ)」という言葉で、これは「お祓いください、お清めください。お守りください、幸福をお与えください。」という意味です。
唱え詞には、「水無月の なごしの祓 する人は ちとせの命 のぶといふなり」「思ふ事 皆つきねとて 麻の葉を きりにきりても 祓えつるかな」「蘇民将来、蘇民将来」などの文言を唱える神社もあります。唱え詞や作法は神社によって異なるため、参拝の際にご確認ください。
また、茅の輪くぐりをして参拝が終わったら、すでに清められているため、帰り道では茅の輪はくぐらないようにしましょう。
形代(かたしろ)で厄祓い
また、夏越の祓のさいに「形代」で厄祓いをする神社もあります。形代とは、人の形をした紙や藁のことで、これに自分の罪や穢れ、災いなどを移し、祓い清めて川や海に流したり、お焚き上げをしたりして厄祓いをします。息を3回吹きかけると厄が移るといわれています。
北野天満宮のように「人形代(ひとかたしろ)」のほかに「車形代」がある神社もあります。
茅の輪くぐりの由来
茅の輪くぐりの起源は、素戔嗚尊の神話に由来するといわれています。
素戔嗚尊が旅の途中で、蘇民将来(そみんしょうらい)と巨旦将来(こたんしょうらい)という兄弟のところで宿を求めたところ、裕福な巨旦将来は断り、貧しい生活をしていた蘇民将来は素戔嗚尊を厚くもてなしたといいます。
素戔嗚は蘇民将来に「もし悪い病気が流行することがあれば、茅の輪を作って腰につけなさい」とお教えになりました。その後、疫病が流行った際に、素戔嗚の言う通りにした蘇民将来の一族が生き残り、巨旦将来の家は全滅したという話です。
この神話から、「蘇民将来」と書いた紙を門にはっておくと災いを避けることができるという信仰がうまれ、茅の輪も大きくなり、くぐって穢れを祓うようになったといわれています。
夏越の祓を象徴するお菓子「水無月」
京都を中心に、夏越の祓の際に「水無月」という和菓子を食べる風習があります。
昔、宮中では6月1日に「氷の節会」が行われていました。氷室に貯蔵された冬の氷を取り寄せて口にし、夏を無事に乗り切ることを祈願しました。
庶民にとっては氷は手に入らないものだったため、削り氷に見立てた生地に、邪気を払う小豆をのせたお菓子を作ったのがはじまりといわれています。
まとめ〜意味を知って、しっかり厄祓いしましょう〜
茅の輪くぐりは、厄を払って、心身を清め、次の半年も無事に過ごせるように祈願する行事です。くぐり方にも作法があり、くぐるだけではなく「形代」がある神社や、水無月という行事食をいただく地域もあります。また、神社によっては特別な御朱印を拝受できるところもあります。お参りすることで、半年間の区切りにもなりますので、参拝してみてはいかがでしょうか。