神社や玄関に飾られるしめ縄。神社や神棚など通年掛けられているものもあれば、年末年始のみ飾られるものもあります。とくにお正月のしめ飾りは、1年に1度であるがゆえに、「どの向き?」「どの位置?」「いつ飾る?」などと迷う方も多いのではないでしょうか。
しめ縄は、神様を迎えるための神聖な結界であり、新年の福を呼び込むともいわれているため、正しく飾りたいですよね。この記事では、しめ縄を飾るときに知っておきたい基本のマナーと、地域や神社で異なる習慣について解説します。
しめ縄の意味を知る|なぜ飾るのか?

しめ縄は、神聖な空間と我々が住む日常生活の境界を示すものです。縄を張ることで「ここから先は清らかな場所である」と示す意味があります。古くから神社や家の玄関、屋内にも張られていました。
しめ縄を飾ることは「家を神様の宿る場所として清める」ことでもあり、形や素材だけでなく、飾り方そのものにも意味があるのです。
飾る時期と避ける日

一般的に、お正月のしめ縄を飾り始めるのは12月13日〜28日ごろになります。12月13日は「正月事始め」と呼ばれ、新年を迎える準備を始める日。12月13日は「鬼宿日(きしゅくにち)」にあたる年も多く、婚礼以外のすべてのことに大吉とされる吉日です。正月の準備がはじまったら、煤払い(現代でいう大掃除)と松迎え(薪をとりにいく)を行い、家の中が綺麗になったら、しめ飾りを飾ります。
しめ飾りを飾るのに適した日は、クリスマスが終わった頃から飾り始めるのが一般的であり、末広がりの28日や30日に飾る人が多いそうです。その際「二重苦」を連想させる29日や「一夜飾り」の31日は避けた方がいいといわれています。
飾る場所と高さの目安

ここではしめ縄やしめ飾りを飾る場所と高さの目安をお伝えします。
家の玄関
しめ飾りを飾るのにもっとも一般的なのは玄関であり、外向き(通りに面して)に掛けるのが基本です。歳神様に家の中が清浄になったことを示し、神様を外からお迎えする意味があるため、室内側ではなく屋外の玄関扉の上部中央に飾ります。
高さの目安は人の頭より高い位置(約180cm以上)。神様が通る“神聖な門”として、頭上に飾るのが礼儀です。
神棚・屋内
神棚に飾る場合は、神棚の上に水平に張る形、または正面上部に掛ける形が一般的です。飾る際には、紙垂(しで)や房が下に垂れるように整えましょう。
屋内に飾る場合も、家族がよく集まる場所や台所など生活の中心が好まれます。火を扱う場である台所は、昔から「かまど神」のおわす場所として重要視されており「荒神(こうじん)」と呼ばれるしめ縄を飾ったり、水回りに輪飾りをつけたりする地域もあります。
向きの違いと紙垂|右綯いと左綯い

しめ縄の向きは意外と見落とされがちなポイントで、一般的には、綯い始め(細い方)が右側、太い方が左側にくるように掛けます。これは「左上右下」が神聖とされる古来の考え方に基づいています。ただし、出雲大社のように逆(左綯い)に掛ける神社もあり、地域や神社の作法に従うことが大切です。迷った場合は、地元の神社の飾り方を参考にすると安心です。
しめ縄につける白い紙の「紙垂(しで)」は、雷を象った形といわれています。邪気を祓い、場を清める意味を持つため、折り方を整えて清らかに見せましょう。また、房や飾りがある場合は、左右のバランスが取れるように調整します。紙垂が乱れていたり、房が片方に寄っていたりすると不格好に見えるだけでなく「神様に対して失礼」とされることもあります。
外す時期とお焚き上げ

お正月が明けたら、しめ縄は松の内が終わる日を目安に外します。松の内は地域によって異なり、関東では1月7日、関西では1月15日までとされます。もともとは全国的に15日まででしたが、江戸時代に徳川家光の月命日(毎月20日)を避けるため、鏡開きが11日に改められ、その結果、松の内が7日までに短縮されたといわれます。この風習は江戸を中心に広まったため、関西では今も15日まで続く地域が多く見られます。
外したしめ縄は、神社の「どんど焼き」や「お焚き上げ」で感謝を込めて焼納し、神様を天へお送りすることで一年の無病息災や豊作を祈ります。最近では「古札納め所」を常設する神社も増え、いつでも納められるようになっています。
まとめ|正しく飾ることは“祈りを整える”こと

しめ縄は、飾る位置や向き、時期にそれぞれ意味が込められています。正しい飾り方を守ることは、神様を丁寧にお迎えし、新しい一年を清らかに始めるための大切な心構えです。
折橋商店では、地域の風習や神社様の作法に合わせたしめ縄づくりを行っています。飾り方に迷ったときは、ぜひお気軽にご相談ください。






