神社や神棚でみられるしめ縄やお正月のしめ飾り。しめ縄につけられている〆の子や紙垂、しめ縄飾りの縁起物など、縄につけられているものにもそれぞれに意味があります。
今回はしめ縄やしめ飾りの部位や名称、意味をご紹介します。
しめ縄の意味
しめ縄は神様のいる清浄な空間と、私たちの住む俗世とを隔てる境界の役割や立ち入り禁止、悪いものが入ってこないようにする結界の役割を持ちます。しめ縄をくぐった時に、神聖な気持ちになるのは、そのためなのですね。
しめ縄の部位と名称
しめ縄は、至ってシンプルな部位からなっており、分解してみると、多くのしめ縄は縄の部分と〆の子、紙垂に分けられます。
ここでは、それぞれの部位(パーツ)を説明します。
なお、全てのしめ縄に〆の子と紙垂がついているわけではなく、数も形もさまざまです。
縄
しめ縄の土台となるのが「縄」の部分です。
しめ縄の縄は多くが「左綯い(ひだりない)」で作られており、日用品の右綯いとは区別されています。
縄の材料としては、稲わら、麻、真菰、スゲ、合成繊維などがあります。
一般的な綯い方は、いずれも繊維を束にしたものを右にねじりながら、左巻きで撚り合わせていくもの。神棚用やしめ飾りなどの小さいしめ縄はひとりでも作れますが、神社用のものになると、3人以上の協力が必要となります。
〆の子(しめのこ)
しめ縄本体から垂れ下がっているもの(おもに稲の束)は「しめの子」といい、「垂(たれ)」「さがり」「稲垂(いなだれ)」「房」とも呼ばれます。
しめの子のかたちはさまざまで、稲わらを数本垂らした簡素なものや、数が多くなり雨のようになっているもの、特殊な束ね方をしているもの、円錐形をしているものなど多種多様です。
紙垂(しで)
紙垂は特殊な裁ち方をした白い紙のことで、「出」「垂」「四手」と書くこともあり、おもに「吉田流」「伊勢流」「白川流」と呼ばれる3種類の裁ち方があります。
紙垂の材料は奉書紙や美濃紙、半紙などですが、かつては麻や木綿(ゆう)という布で作られていました。
紙垂の意味は「神聖さ」や「清浄」であることを表し、形が稲妻に似ていることから、稲妻の力で悪いものを寄せ付けない意味も持ちます。
このような意味から、しめ縄と〆の子と紙垂を合わせて、しめ縄を雲、紙垂を稲妻、〆の子を雨に見立てて、豊かな実りを表しているという説もあるのです。
しめ縄本体の形の種類
しめ縄本体も形による違いがあり、最も一般的な形である「鼓胴型」は、真ん中が太く、両端に向かって細くなる形状をしています。
神棚などに多いのが「牛蒡型」。綯い始め(作り始め)が太く、綯い終わりにいくにしたがって細くなります。
他にも、太さが変わらない「一文字型」、牛蒡型が太くなった「大根型」、2本の太い縄を捻り合わせる「大黒締め」などがあります。
しめ飾りの部位と名称
お正月に玄関先や水回りなどに飾るしめ飾りは、しめ縄から派生したもの。もっとも豪華で目立つ玄関先のしめ飾りは、歳神様をお迎えする目印になるもので、家の中が清浄であることを表しています。
しめ飾りは細いしめ縄をさまざまな形にして、そこに縁起物をつけます。
しめ飾りの形は、縄を輪っかにする輪飾りや神棚などによく使われるごぼう締め、眼鏡や海老といった特殊な形にするなど、地域によって多様な形があります。
また、しめ飾りの縁起物も数が多く種類も豊富です。
以下で、代表的な縁起物の名称や意味をご紹介します。
裏白…裏表がなく清い心、白髪の白から長寿。
橙(だいだい)…代々繁栄する。
ゆずり葉…子孫に代々受け継がれていくこと。
紙垂…しめ縄と同じで、神聖さや清浄さを表す。
まとめ〜しめ縄やしめ飾りの部位には名称や意味がある〜
しめ縄やしめ飾りには、それぞれの部位に名称があり意味があります。しめ縄やしめ飾りを見られる際には、個々のパーツに注目して意味を思い出してみると楽しいですし、形の違いや飾り物の種類も併せて楽しんでみてくださいね。