お正月のしめ飾りについているさまざまな飾り。これらは「縁起物」と呼ばれそれぞれに意味があります。例えば、裏が白い葉は「裏白(うらじろ)」といい、長寿を表すほかにもいくつかの意味を持ちます。この記事では、数多くあるしめ飾りの縁起物やその意味をご紹介します。意味が分かると、お正月の準備がますます楽しくなるでしょう。
しめ縄の意味とお正月のしめ飾り
神社などでみられるしめ縄は、神様のいる神聖な場所と私たちの住む俗世とを隔てる役割がありますが、お正月のしめ飾りは「我が家は歳神様をお迎えするのにふさわしい清浄な場所ですよ」と示すものです。
しめ飾りは神社のしめ縄から派生したもので、当初は正月に家のまわりにしめ縄を張り巡らせて邪気を払っていたものが、次第にしめ縄を造形し、縁起物のお飾りをつけるようになったといわれています。
しめ飾りは玄関に飾ることが多いですが、地域によっては台所や神棚、床の間、車などにも飾ります。
しめ飾りの縁起物「裏白」とは
しめ飾りにつけられている「裏白」はウラジロ科の植物で、山の中で大群落を作り、葉が1m近くにもなる生命力を感じさせる植物です。
この裏白にはいくつもの縁起のよい意味があります。葉の裏が白いことから、表裏なく清い心、潔白な心を表し、白(=白髪)のイメージや葉の先がしだれるので「シダ」で、これを「歯垂る」「齢垂る」にかけて長寿を表します。
また、2枚の葉が対になっていることから夫婦円満の象徴や群がって生育するために先祖の霊魂が宿っている、次々と新しい葉が伸びることから長く栄えることの象徴という意味もあります。
裏白を飾る際には、潔白な心を表すために、白い裏側が表にくるように飾りましょう。
しめ飾りの縁起物あれこれ
しめ飾りには裏白以外にもさまざまな縁起物がつけられており、それぞれに意味があります。
しめ飾りの土台となるしめ縄部分には新しい藁が使われますが、新しい藁を使うことで古い年の不浄を払います。
そこに飾られる代表的なものとしては「裏白」「橙(だいだい)」「ゆずり葉」「紙垂(しで)」があります。シンプルな飾りのしめ飾りにはこの4種類が飾られる場合が多くみられます。
縁起物のそれぞれの意味ですが、「橙」は、代々繁栄することの祈願、「ゆずり葉」は、子孫代々受け継がれていくことを表します。ゆずり葉とは、冬も青々とした葉をつける常緑樹で、春に若芽がでると、前年の葉がそれに場所を譲るように落ちることが由来です。そして「紙垂」は、稲妻の力によってよくないものを遠ざけ、神聖さを表しています。
以上の代表的な飾りの他にもさまざまな縁起物がつけられることがあります。それぞれの意味をご紹介しますね。
・扇…末広がりの扇は、繁栄や開運を表す。
・海老…腰が曲がるまで長生き。 ・鶴…鶴は千年と呼ばれるため、長寿。また鶴のつがいは夫婦仲がよいことから家庭円満。 ・亀…亀は万年と呼ばれるため、長寿。また甲羅の六角形も吉兆を表すという。 ・稲穂…豊作祈願。 ・椿…椿は木へんに春と書くので、春がくること。 ・南天…「難を転じて福となす」。 ・松ぼっくり…種子がたくさん集まっているものなので、子孫繁栄。 ・水引き…封印や魔除け。縁を結ぶ。 |
また、基本的には白一色の紙垂ですが、代わりに色とりどりの紙が使われることもあります。
しめ飾りの形や縁起物は地域やデザインによってさまざまな特色があり、縁起物の数に決まりはないため、シンプルなものからとても豪華でカラフルなものまであります。ご自身の地域の伝統のかたちやあまり決まりがない場合は好みや願いに近い縁起物で選ぶと良いでしょう。
しめ飾りを飾る時期
以上のように、お正月に欠かせないしめ飾りですが、飾る時期にも目安があります。
しめ飾りを飾る時期は、正月事始めといって12月13日のすす払い(大掃除のルーツ)が終わって、歳神様をお迎えするのにふさわしい場所に整ってからです。
現代では、12月13日に大掃除と決まっているわけではなく、クリスマスもありますから、25日を過ぎた頃から飾る場合が多いようです。
だた、29日は「二重苦」、31日の一夜飾りも縁起が良くないため避けられる場合が多いので、余裕をもって飾るようにしたいですね。
お正月を迎えた後は、松の内といって1月1日〜7日(地域によっては15日)を過ぎたら外し、15日頃に地域や神社で行われるどんど焼きでお焚き上げしてもらいましょう。
まとめ〜しめ飾りの縁起物は、それぞれに意味がある〜
お正月に歳神様をお迎えする目印となるしめ飾り。しめ飾りには潔白や長寿を表す「裏白」などの縁起物が多くつけられており、縁起物それぞれに意味があります。しめ飾りを飾る際には、しめ飾りそのものや縁起物の意味を感じながら、願いを込めて清らかな気持ちで飾りたいものですね。