神社のしめ縄やしめ飾り。一体どうやって作るのだろう?と不思議に思ったり、自治体や自宅でも作れないか考えている方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、しめ縄を自作する際の撚り方や大小のしめ縄の作り方、なぜしめ縄は左巻きなのかを解説していきます。
しめ縄の材料
しめ縄を撚る前に、材料を準備します。
しめ縄の材料は、最も一般的なのが稲わらです。稲を刈り取って乾燥させ、袴(はかま)という部分をとり綺麗にしたものを使用します。
他にもよく使用されるものに麻があり、大麻草の茎の表皮を手間暇かけて精製した繊維を使います。他にも地域によって、真菰やスゲなどが使われており、合成繊維のしめ縄もあります。
しめ縄の撚り方
ここでは、一人でも作れるしめ飾りや神棚サイズのしめ縄の作り方を説明します。
しめ縄を撚る際には、稲わらに水分を十分含ませて木槌でたたき、やわらかくしてから使用しましょう。
まず、稲わらの束を3本作り、もとをしっかり固定します。
次に、2つの束を撚り合わせていきます。それぞれの束を右回りで撚りをかけながら(ねじりながら)、2本の束を左回りに撚り合わせていきます。
そして、2本の束を合わせたものに、残りの1束を撚りをかけながら巻き付けていきます。
飛び出たわらなどを整え完成です。これが基本の縄となり、この縄を輪っかにしてとめ、飾りをつければしめ飾りなどの輪飾りになります。
神社用の大きなしめ縄の撚り方
家庭用の小さなしめ飾りなら、1人で作ることができますが、神社に取り付ける大きなものになると、複数人の協力(最低でも3人)が必要です。
一般的な神社のしめ縄の撚り方
家庭用の小さなしめ縄では1本のしめ縄を作ればよいのですが、神社や鳥居に祀る場合は、複数のしめ縄を1つに撚り合わせていき、大きくしていきます。
多くの場合、先ほどの小さなしめ縄と撚り方の基本は同じですが、力とチームワークが必要な作業になります。
(参考)
日本一の大きさを誇る出雲大社の大しめ縄
ここでひとつ特殊な例をご紹介します。
日本一の大きさといわれる出雲大社の大しめ縄。こちらは神楽殿のもので長さ13.7m、重さ5.2もあります。
作り方も一般的なしめ縄と異なり、大縄を2本作り、それをねじり合わせていくというもの。簡単に説明すると以下のようになります。
まず、中芯作り。わらを束ねて、直径30センチほどの長い束を何本も作っていきます。そのわら束を、中心の束の周りに重ねていき、直径1.5m、長さ16mの大きな束を2本作ります。この中芯に菰(こも)をかければ、1本1.7t以上ある大縄の完成です。
こうしてできた2本の大縄を撚り合わせる作業がクライマックスでもある「大撚り合わせ」。
「大撚り合わせ」は壮大で、2本の大縄の元を支柱に固定し、片方をクレーン2台で持ち上げ、片方を人の力で転がして撚り合わせる作業です。2018年の掛け替えでは、総勢80名で5時間かかったそうです。
なぜしめ縄は左撚りなのか
材料をねじって縄を作ることを「縄を綯う(なう)」といいます。
古くから、しめ縄は左巻き=左綯いで、日常に使用するものは右巻き=右綯いとして受け継がれてきました。
なぜ左巻きなのかというと、いくつかの説が考えられます。
ひとつは、神道では「左が神聖で右が俗」という考え方があり、飾るときも神様から見て左側に綯い始め(太い方)がくるように飾るべきとされています。一般的な神社では、神様から見て左側に綯い始めがくるように取り付けられているのはそのためです。
2つ目の説は、飛鳥時代に中国から伝わった陰陽道の影響。御所でも天皇の住まいが南をむく「天子南面」をしているように、北を背にして天皇が南を向くと、日が登る方=陽が東で左、火が沈む方=陰が西で右となります。
3つ目は、日用品は右綯いでつくられることから、通常の右綯いと区別し、神聖な意味合いをもたせるため。さらに普段慣れない左綯いではどうしても作業が丁寧になるため、神様のためにひとつひとつの工程に心をこめる意味もあるようです。
まとめ〜しめ縄はほとんどが神聖な左撚りで作られている〜
しめ縄は基本的には神聖な左撚りでつくられていますが、大きさによって難易度もかなり変わることがわかります。また出雲大社のように特殊な作り方をしている神社もあれば、ごく一部で右綯いのしめ縄の神社もあるようです。
材料を刈り取り、整えるところからはじまるしめ縄作り。ひとつのしめ縄を作るのにも、手間ひまと作り手の心がこもっているのですね。