神社や神棚のしめ縄についているヒラヒラした白い紙は「紙垂(しで)」といい、特殊な裁ち方をした紙のことです。紙垂は自宅でも作ることができるので、ご自宅の神棚のしめ縄の紙垂をご自身で新調したり、万が一破れてしまったときに修復したりできます。
この記事では紙垂の意味や自宅でできる作り方、付け方などをご紹介します。
しめ縄の白い紙は「紙垂」
紙垂とは、しめ縄についている白い紙のことで、しめ縄につけることで「神聖」や「清浄」な場所であることを表しています。しめ縄と同じように、私たちの暮らす俗世と神様のいる神聖な場所の境界線を示しているのです。
さらに、紙垂の形は稲妻を表し、しめ縄を雲、しめ縄から紙垂と同じように下がっているしめの子を雨として、豊かなみのりを表してもいるのです。なぜ稲妻?と思われるかもしれませんが、「落雷があると稲がよく育つ」と昔から言われているためです。
紙垂には「吉田流」「白川流」「伊勢流」の3つの流派が存在しており、裁ち方や折り方に違いがあります。流派の違いは、地域や神社によって異なりますが、なかには手前と奥で違う形の紙垂をつけている神社もあります。
紙垂の意味や由来
紙垂はもともとは紙ではなく、麻や木綿(ゆう)といった布が用いられていました。日本神話の「天岩戸隠れ」の話のなかで、天照大神が天岩戸に隠れてしまったため、誘い出すために、榊の枝に木綿や麻の布を垂らしたのがはじまりといわれています。そして、当初は布だったものが、江戸時代ころから紙として普及していきました。
現代では、紙垂の材料は奉書紙や美濃紙、半紙を使いますが、コピー用紙でも作ることができます。
紙垂の作り方
紙垂は自宅でも作ることができます。紙垂の裁ち方には種類がありますが、もっとも一般的な吉田流の作り方を簡単にご紹介します。
1、紙を縦に4等分、横に3等分に折り目をつけます。
2、縦の2/3の長さの切り込みを3本入れます。
3、全てを手前に折っていきます。
4、頭を三角に折っておくとしめ縄につけやすくなります。
吉田流の紙垂の作り方としめ縄への取り付け方のわかりやすい動画はこちらです。
ちなみに白川流は、吉田流と切り方は同じですが折り方に違いがあり、また伊勢流はこの2つとは全く違った形をしていますが、作り方は難しくはありません。
また、紙垂は神聖なものなので、作る際には手を洗い、口をすすぐなどして清らかな気持ちで作るといいでしょう。
紙垂の付け方
紙垂ができたらしめ縄につけます。
紙垂をつけたい部分のしめ縄の撚り(より)を平たいヘラのようなものを差し込んで戻し、そこに紙垂を差し込みます。手で撚りを反対にねじって戻せる場合もあります。もししめ縄の撚りが固く、差し込むのが難しい場合には、紙垂に穴をあけて紐を通し、短冊のようにして取り付けましょう。
注意すべき点は、紙垂の裏表の向きと位置が均等になるようにすることです。紙垂は悪い物をよせつけない意味があるので、表をこちらにむけ、神様の方に裏がくるように取り付けます。
裏表の見分け方は、床やテーブルなどに置いて作ったときに、上になっていた面が表で、下になっていた面が裏になります。紙垂の数は神棚では4枚飾る「四垂」が一般的ですが、二垂や八垂など神社や地域によって異なります。
御幣と玉串についている紙垂
紙垂はしめ縄だけでなく、御幣や玉串にもつけられます。御幣とは2本の紙垂を竹や木ではさんだものが一般的なかたちで、神様そのものや依代となります。また、儀式の際の祓い具にもなります。もともとは神様への捧げ物、御供物を表していました。
玉串は、神前に供える酒や米と同様に重要な意味があり、神道のさまざまな儀式で使われます。願いを込めて玉串を捧げるため、祀る人と神様の仲立ちをする役割もある重要なものです。玉串に紙垂をつける際には榊の枝に麻のひも等を使って紙垂を結びつけます。
まとめ〜紙垂の作り方や付け方に注意して、より清らかな空間を〜
紙垂は自宅で作ってしめ縄に取り付けることができ、その際には作り方や向きに気をつけて取り付ける必要があるとわかりました。神聖、清浄の意味がある紙垂を整えることによって、ご自宅の神棚がより一層清らかなものになりそうですね。また、神社に行かれる際には、紙垂の形にも注目してみても興味深いかもしれません。