しめ縄といっても大きくわけて3種類あり、神社のしめ縄、家庭や店舗の神棚のしめ縄、お正月のしめ飾りがあります。
この記事では、そもそもしめ縄を飾る意味とは?しめ縄の飾り方のきまり、飾る時期や処分方法などを解説します。
しめ縄を飾る理由
そもそもしめ縄とは、神様のいる神聖な場所と我々の住む俗世を隔てる結界の役割を持っており、神聖な場所に不浄なものが入らないようにする目的で飾られます。
神社のしめ縄や神棚は神様がいらっしゃるので分かりやすいかもしれませんが、実はお正月のしめ飾りも同じで、家の中を清浄にしてからしめ飾りをつけ、歳神様への目印にするもの。神様をお迎えするのにふさわしい場所ですよと示しているのです。
しめ縄の種類
しめ縄は飾る場所や素材によってさまざまな種類があります。それぞれの特徴を知って、適切なしめ縄を選びましょう。
しめ縄を飾る場所による違い
しめ縄の種類は、飾る場所によって大きく3つに分けられます。
神社のしめ縄、神棚のしめ縄、お正月のしめ飾りです。
神社のしめ縄は、神社の鳥居や拝殿などにある大きなものや境内のまわりや手水舎、御神木などを囲む細いものなどがあり、神社内に複数本ある場合が多いです。
しめ縄の種類も、真ん中が太い鼓胴型や横にまっすぐな一文字型、2本の太いしめ縄をねじり合わせた大黒型など、さまざまな形がみられます。
家庭や商店にある神棚のしめ縄は、片側が太い牛蒡型、牛蒡型がより太くなった大根型、しめ縄にたくさんの房が雨のように垂れ下がっている前垂れ型がおもなかたちです。
お正月のしめ飾りは、神社のしめ縄が派生したものです。かつてお正月には家のまわりや水回り、かまどなどにしめ縄を張り巡らせていました。それが造形され、縁起物の飾りをつけるものへと変化したのがしめ飾りなのです。
しめ縄の素材による違い
神社や神棚のしめ縄は形や大きさによる違いのほかに、しめ縄素材による違いもあります。例えば、稲わら、麻、化学繊維が一般的な材料といえるでしょう。
稲わらはもっとも多い素材で、豊作祈願の意味合いが強く、麻は穢れを払う、魔除け、浄化、心を穏やかにする意味があります。
また、合成繊維は長年メンテナンスが不要であるため、近年人気が出てきています。
地域の伝統やご自身の感覚に合うものを選びましょう。
しめ縄を飾る際は向きに注意
神社や神棚のしめ縄を飾る際に、気をつけたいのが「飾る向き」と、しめ縄から下がっている白い紙「紙垂(しで)」の裏表です。
しめ縄と紙垂の正しい向きとその理由
しめ縄は基本的に、神様からみれば左側、私たちから見たら向かって右側に縄の綯い始め(作り始め)がくるように飾ります。
これは、古来からある「左が上位、右が下位」とする考え方からくるものです。
左上右下の考え方は、陰陽道で左を陽、右を陰とすることや、「天子南面」といって北を背にして天皇が南をむくと、日が昇る方が左、沈む方が右になるということなどが関わっています。
「紙垂」の裏表
しめ縄に垂れ下がっている白い紙「紙垂」は、神聖さや清浄さを表し、紙垂の内側が神様にふさわしい空間であることを示します。
さらに、紙垂は稲妻の形に似ていることから、稲妻の力でよくないものを跳ね返すという意味や稲妻があると稲がよく育つため、ゆたかなみのりを表す意味でも使われてきました。
紙垂の裏表は表が私たちのいる方、裏が神様がいらっしゃる方となるように取り付けましょう。
向きが逆になる場合〜入船・出船〜
ただし、神棚のしめ縄の飾り方には、向きが逆になる場合があります。
しめ縄を船の形に見立てた入船出船という考え方では、商売繁盛を願い、お店にお客さんがたくさんくるように願う「入船」の場合は、向かって右側に太い方を向けます。これは、一般的な飾り方と同じです。
反対に、「出船」というのがあって、家から出て働いて稼ぎをたくさん持ち帰ることを願う場合に、太い方を向かって左に向ける場合もあります。
また、神棚の向きや方角によってしめ縄の向きが変わる場合もありますので、迷うときは地域の飾り方を参考にするとよいでしょう。
お正月のしめ飾りの向き
お正月のしめ飾りは様々な形があり、たいていの形のものは向きを気にしなくてもいいのですが、なかには牛蒡じめのような向きに気をつけるべき形もあります。
お正月飾りの牛蒡じめも基本的には向かって右側が綯い始めの太い方がきますが、中には伊勢神宮のある三重県伊勢地方のように、牛蒡じめの向きが逆に飾られ、さらに一年間飾っておく風習があるのです。
しめ縄を飾る時期・交換のタイミング
神社のしめ縄の交換のタイミングは神社によりますが、年末や例大祭などの前が一般的です。交換の頻度も神社により、毎年年末に掛け替える神社もあれば、数年に一度のところもあります。
神棚のしめ縄は、年末の大掃除で神棚を綺麗にしてから交換し、そのまま1年間飾るのが一般的です。
しめ飾りも、神棚のしめ縄と同じく、12月13日の「正月事始め」以降であればいつでもいいとされています。現代ではクリスマスがあるため、12月25日以降に正月飾りを飾る家庭も多く、28日に飾ることが多いようです。
縁起が悪いという29日(二重苦をあらわす)と31日(一夜飾りになる)は避けたほうがいいので、余裕をもって飾りましょう。
しめ縄の処分方法
しめ飾りは、一般的には正月の松の内が終わってから片付けます。
取り外したしめ飾りは、近所の神社や広場などで行われるどんど焼きに持っていきましょう。どんど焼きがない場合は神社の古札納所に持っていき、お焚き上げしてもらうか、自治体のゴミに出します。
このとき、古くなった神棚のしめ縄も一緒にお焚き上げしてもらうとよいですよ。
まとめ〜飾り方を知って、よい毎日を送りましょう〜
しめ縄のある場所は、大きさや形は違えど、神様をまつるのにふさわしい神聖な場所を表しています。
決まりを守って飾り、気持ちを込めて神様をおまつりしたいですね。