羊は、世界各地で古くから人間と関わりの深い動物であり、干支の8番目の動物でもあります。
この記事では、羊の干支の意味やご利益、羊と神仏の関係、そして日本人と羊の歴史について解説します。さらに、羊にまつわるおすすめの神社をご紹介します。
羊の干支の意味・ご利益
「羊」という漢字をみてみると「美」には「羊」が含まれているため、美しさの象徴であり、「吉祥」の「祥」にも羊含まれていることから、幸運をよぶ動物としても考えられていました。
羊と神仏の関係
羊は、古来より世界各地で神聖な動物として崇められてきました。古代エジプトでは、羊の頭を持つ神クヌムが創造神として信仰され、ギリシャ神話では、金色の毛を持つ羊が登場します。
未年の守本尊は「大日如来」であり、有名なお寺としては、円城寺(奈良県)、金剛峯寺(和歌山県)、東寺(京都府)、金剛寺(大阪府)などが挙げられます。大日如来は日本各地でお参りできるため、お近くのお寺を探してみるのも良いでしょう。
日本人と羊の歴史
日本にはもともと羊はおらず、はじめてやってきたのは、推古7(599)年と日本書紀にあります。しかし、羊の飼育が日本に根づくことはなく、本格的に羊が飼育されるようになったのは明治時代以降でした。
とはいえ、干支としては伝わっていたため、ヤギに似ている動物として描かれていたそうです。
しかし、羊は古くから中国との交流を通じて日本に伝わっていました。羊の毛は、織物や筆の材料として珍重され、羊の角は薬として用いられました。
また、「羊」の字は「祥」に通じることから、縁起の良い動物とされ、神社仏閣の装飾や絵画の題材としても用いられてきました。
羊にまつわるおすすめ神社・お寺4選
羊にまつわる神社や羊の像が鎮座しているお寺をご紹介します。
羊神社(群馬県安中市)
羊神社は、天児屋根命(あめのこやねのみこと)と多胡羊太夫(たごひつじだゆう)藤原宗勝公をご祭神としています。なぜ「羊太夫」と呼ばれるのかというと、羊の年、羊の日、羊の刻に生まれたためといわれ、この地域を発展させた英雄とされています。その功績を称え、多胡一族が江戸時代に創建したといわれています。
境内には、羊の狛犬や絵馬がみられます。また、宮司さんが兼務されているため、車で5分のところにある咲前(さきさき)神社へ行くと、羊神社のお守りや珍しい羊だるま御朱印をいただくことができます。
羊神社(愛知県名古屋市)
もう一つの羊神社は名古屋市にあり、先に紹介した群馬県の羊神社とも関係が深い神社です。
羊太夫が奈良の都に上る際に立ち寄っていたゆかりの屋敷が、この地にあったこと、人々が平和に暮らせるようにと羊太夫が火の神を祀ったことから、羊神社と呼ばれるようになったといわれています。また、この神社のある地名を辻町といいますが、「ひつじ」から「火」をとってそう呼ばれているそうです。
境内には手水舎の水が羊の口から出ているほか、親子が寄り添って座っている羊の石像もあります。
白山比咩(しらやまひめ)神社(石川県白山市)
白山信仰でも有名な白山比咩神社には「羊」の文字が入っています。古代にはひつじは山の神とされ、「祥」はめでたいの意味であり「咩」も同じ意味です。この神社は白山信仰の総本山であり、縁結び、五穀豊穣、大漁、家内安全など幅広くご利益があるといわれています。
虚空蔵法輪寺(京都府京都市嵐山)
十三詣(じゅうさんまいり)や知恵を授けることで有名な、京都府嵐山にある法輪寺には、羊象があり、触れると知恵を授かれると言われています。羊は虚空菩薩の使い、または化身とされています。
まとめ|羊にまつわる神社にお参りしよう
羊は、干支に含まれているにもかかわらず、日本において広く認知されるようになったのは明治時代とやや後になってからでした。しかし、その穏やかな姿から、平和や家族の安泰を象徴する動物、幸運を呼ぶ動物として親しまれています。羊にまつわる神社の数は少ないですが、機会があれば参拝してみてください。