2025年の干支は巳(蛇)。古来から蛇は日本人との関わりが深く、さまざまなものの象徴とされたり、見立てられたりしてきました。この記事では、しめ縄の意味と蛇の意味、両者の関わり、蛇のご利益、蛇と関係する神社についてご紹介します。
しめ縄と蛇との関係
しめ縄は蛇が絡み合っている姿だという説があります。この記事では、吉野裕子著『蛇』という書籍をもとにご紹介していきます。
しめ縄の意味
しめ縄は、神社や神棚、御神木や巨岩などに巻かれており、神が宿る神聖な場所やものであることをしめします。また、邪悪なものが入っていかないようにする結界としての意味や境界線を示すこともあります。
蛇が持つ意味
蛇は古くから人間とかかわっており、縄文土器や土偶の頭部に蛇の造型がみられるものがあります。
脱皮は、人間にとっては驚くべき習性であり、永生と新生をもたらすものと考えられました。毒蛇は人間にとって強敵でありながら、その強烈な生命力、繁殖力、強さを分けてもらおうと信仰した可能性もあります。
弥生時代になり、稲作をはじめると、野ネズミが稲を食べてしまいますが、ネズミの天敵としての蛇が、田を守る神として信仰されるようになりました。
こうして、現実に生きている蛇のほか、蛇に似ているものを蛇に見立てて、それを信仰し神聖視する蛇信仰がうまれたのです。
蛇に似ているものは数多くあり、しめ縄をはじめ円錐形の家屋やどんど焼きの際に燃やす「カリヤ」、鏡餅などが挙げられます。縄文中期にはじまる円形竪穴住居や鏡餅は、トグロを巻く蛇を連想させます。蛇の目は「蛇目(カカメ)」とも呼び、それが「カガミ」と通じると考えられていることもルーツのひとつといえるでしょう。
蛇のご利益
蛇にはさまざまなご利益があります。
もっとも一般的なのが、水の神。恵みの雨を降らせて豊作をもたらします。水の神であり、財運が上がるといわれる「弁財天」とのつながりがあるといわれており、「蛇の抜け殻を財布にいれておくと金運がアップする」と聞いたことがあるかもしれませんが、これは弁財天とのつながりから言われていることです。
家の守り神や、芸術、金運、豊穣、天候の神でもあり、とくに白蛇は、家運繁栄、金運向上を招くといわれています。
また、脱皮を繰り返すことから、不死の生き物、復活と再生、長寿や蓄財の象徴でもあるのです。
蛇と関係がある神社
ここでは、蛇と関係のある神社をご紹介します。
金蛇水(かなへびすい)神社
宮城県岩沼市にある金蛇水神社は、巳がご神体である水神信仰の神社で、商売繁盛、金運円満、厄除開運、海上安全のご神徳があるといわれています。境内には1500株の牡丹がある牡丹園があり、つつじや藤が咲き誇る季節にも賑わう神社です。
白龍神社(宮崎県)
宮崎県都城市にある白龍神社は、生きた白へびさまに会える、触れることができる神社として有名です。
冬でも暖房のきいた部屋にいるので冬眠をせず、年中会うことができます。
白龍神社(愛知県)
愛知県名古屋市にも白龍神社があります。こちらは龍神様が祀られており、仕事運・金運アップ、病難除去、災厄避けのご利益があるといわれています。末社には白蛇がおまつりされており、蛇の模様の鳥居に、とぐろを巻いた蛇の重軽石が左右にあります。この石を持ち上げてみて、軽く感じた場合は願いが叶いやすいといわれています。
下野星宮神社
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栃木県下野市にある下野星宮神社は、蛇の形を模したしめ縄がみられる珍しい神社です。蛇の形のしめ縄に触れると、運気上昇や金運アップのご利益があるといわれています。
大晦日から飾られる「行灯大鳥居」は多くの人の人気があり、こちらの行灯の鳥居にも蛇の形のしめ縄がつけられています。
奥澤神社
東京都世田谷区にある奥澤神社では、9月の第2土曜日に行われる厄除け行事「大蛇お練り」が有名です。この大蛇は江戸時代に当地で疫病が蔓延したときに、八幡神からのお告げがあり、わらで大蛇を作り村中を歩くと疫病がおさまったことから行われています。お練りした大蛇は本殿に1年間安置したあとで鳥居に飾られるそうです。
まとめ〜蛇の存在は奥深い〜
しめ縄と蛇の関係や、蛇に関係する神社をご紹介しました。一般的には恐怖に感じる人も多い蛇ですが、その強さに、人々は古来より生命力を感じ、信仰してきたことがわかります。参考文献によると、蛇信仰には畏怖と嫌悪の2つの要素が内在しているといいます。そのため、蛇に似ているか否かにかかわらず、さまざまなものを蛇に見立て(抽象化)統一し得た宗教感情とのこと。なかなかの複雑さをもつものなのですね。
そんな複雑さを持つ蛇信仰ですが、脱皮することの新しいパワーや強い生命力、金運アップなどのご利益もあるといわれていますので、参拝してみるのもよいでしょう。