引っ越しや転勤などで自分がどこの氏子になるのか知りたい時に、おすすめされるのが神社庁への問い合わせでしょう。この記事では、そもそも神社庁とは何か?氏子とは何か?氏神神社を調べる方法などについて解説します。
目次
神社庁とは何か?
神社庁とは、国の機関かと思われるかもしれませんが、そうではありません。ここでは神社庁とはどのような機関なのか、これまでの歴史的経緯などを交えて説明します。
神社庁とは?
神社庁とは、全ての都道府県に1つずつ設置されている神社本庁の地方機関です。「庁」とは言うものの、役所ではなく、宗教法人法に基づく文部科学大臣所轄の包括宗教法人です。
神社庁は各都道府県にある神社を取りまとめ、人事財政などの事務や神社・神職の指導、祭祀・地域活動の振興をはかるなどの活動をしています。所在地は、都道府県によって違いますが、その都道府県で比較的大きな神社の境内や隣接地にあることがほとんどです。
これらの神社庁のトップに神社本庁があります。神社本庁は、伊勢神宮を本宮と仰ぎ、全国8万社の神社を包括する組織として昭和21年に設立しました。
ただ、全国全ての神社が属している訳ではありません。小規模組織が管理する神社や比較的新しい神社、独特の由緒を持つ神社が多く、単立神社と呼ばれ、単立宗教法人として成り立っています。例えば、金刀比羅宮、鎌倉宮、靖国神社、伏見稲荷大社、日光東照宮、白崎八幡宮、気多大社、新熊野神社、梨木神社、富岡八幡宮などが挙げられます。
神社庁の歴史的経緯
神社庁や神社本庁ができたのは戦後で、それまで国の機関として神社を統括していた神祇院が解体され、神社は国家から分離されることとなりました。そのため民間団体が事務を継承し、神社を今一度まとめるために組織されたのが神社庁なのです。
「神社庁」という名前はお堅いイメージもありますが、神道は八百万の神を信仰するもので、それぞれの神様や全国の神社に序列はありません。ですので神社本庁・神社庁には大きな権限はなく、神社庁と神社は緩やかな共同体としての組織であり、組合のようなものと考えられています。
主な活動内容
神社庁は、それぞれの都道府県の神社の事務や、神職の指導、祭祀・地域活動の振興などを図るのが主な活動で、地域の神社の広報窓口でもあります。高齢化や地域の過疎化が進む中で神社をより身近に感じてもらおうという活動も行っています。
例えば、2016年には「過疎地域神社活性化推進委員会」が結成され、東京の富賀神社での「御輿渡御斎行」、千葉県の金刀比羅神社で「茅の輪くぐり」、大阪府の鼻川神社で「しめ縄作り」が行われるなど、全国各地で新たな活動が行われました。
自分の氏神神社の調べ方
引っ越しをして住む地域が変わった際に、自分はどこの神社の氏子になるのか知る方法はいくつかあります。
氏子とは?
氏子とは、自分の住む地域をお守りしている氏神様を信仰する人のことで、氏神様にお守りしてもらい、安寧や繁栄を祈願すると共に、氏神神社の維持や管理、お祭りなどの運営に参加します。氏神様は、地域住民の心の拠り所としておまつりされており、都会では諸産業を、農村では農業を守護し、その土地に暮らす全ての人々(氏子)とその生活を見守っています。
氏神神社の鎮座する周辺地域の人たち=氏子のあつまりを「氏子同」「氏子中」といい、協力して活動するのです。
引っ越ししたらすること
引っ越しが落ち着いたら、氏神神社を調べお参りする人もいるでしょう。引っ越し先の神社庁に問い合わせしたり、都道府県によりますがホームページで調べることができます。
ただ、近年の市町村合併などで旧来の地名が改められていたり、大規模な宅地開発や団地の造成がある地域では、地域の住民での協議が必要となったり、複雑化していたり、歴史的な経緯で複数の神社の氏子である場合もあるので、まずはご近所にお住まいの方や地域の役員さんに聞く方が確実とも言われています。
氏神神社と崇敬神社の違い
近所に神社があっても、氏神神社ではない場合もあります。全国の神社は、天照大神をお祀りする伊勢神宮を別格の存在として、このほかを氏神神社と崇敬神社の2つに分けているからです。
氏神神社とはこれまで書いてきた通り、周辺地域をお守りする神社です。
一方、崇敬神社は血縁関係や地縁関係ではなく、個人の特別な信仰により崇敬される神社のことをいいます。信仰する人のことを氏子ではなく、崇敬者といい神社の維持や活動に協力する存在です。
崇敬神社は意外と数多くあり、太宰府天満宮や出雲大社、明治神宮、八坂神社、平安神宮、橿原神宮など有名かつ大きな神社が多いのが特徴です。
もちろん、両方の神社、複数の神社を信仰することは全く問題ないとされていますし、神棚も複数のお札をおまつりできるようになっています。
まとめ〜神社庁は緩やかに神社をまとめ、氏神神社も関わる機関〜
神社庁は全国の神社を緩やかにまとめ、サポートや振興、教育する機関であり、引越しなどで氏神神社が変わった際に、問い合わせもできます。自分がどこの氏子なのか調べる時は、場合によっては神社庁に聞くよりもご近所に住む方に聞く方が確実なので、臨機応変に対応してみてください。自分の氏神神社が分かったら、ご挨拶にお参りするのがいいでしょう。