しめ縄とSDGs|伝統を未来へつなぐ、やさしいサステナブルの話

しめ縄_SDGs

神社やお正月の玄関に飾られる、しめ縄やしめ飾り。
この伝統的な飾りが、いま“SDGs(持続可能な開発目標)”の視点からも、あらためて注目されています。自然を大切にし、次の世代へ受け継ぐというしめ縄の精神は「サステナブルな暮らし」と深くつながっているのです。

 

 

 

 

稲作とともに生まれた「祈りのかたち」

 

しめ縄_稲作_祈りのかたち

 

古くからしめ縄は、秋の収穫を終えたあとの稲わらを使い、神様に豊かな恵みを感謝するとともに、来年の豊作を祈願するという想いをこめて作られてきました。
またお正月に飾られるしめ飾りは、1年を無事に過ごせたことに対する感謝と新しい年への祈りを込めて作られます。これは日本人の「自然とともに生きる」という考え方を象徴しているともいえます。

近年ではかなり減ってきていますが、かつては、家族や地域で協力してしめ縄を作る風景がよく見られました。農作業の延長として藁をより、神社に奉納したり、玄関に飾ったりして年を迎える準備をします。その営みは、人と自然と地域がひとつにつながる時間でした。

 

変わりゆく環境と、しめ縄文化の課題

 

しめ縄_縄文化の課題

 

ところが近年、稲わらの入手が難しくなっています。
農業人口の減少や気候変動の影響で、しめ縄用の藁を確保できる地域が減ってきていること、都市への人々の流入によって、農村地域の過疎が進んでいることが原因としてあげられます。さらに、処分のしにくさや正月行事の簡素化、現代の住宅には昔ながらのしめ縄のデザインが合わないことなどの問題もあります。昔ながらの風習が都市部の暮らしにあわなくなってきているのです。

 

SDGsの視点から見たしめ縄の魅力

 

しめ縄_SDGs_魅力

 

しめ縄をSDGsの観点から見てみると、実は多くの目標に関係していることがわかります。
・目標11「住み続けられるまちづくりを」…地域の文化を守り、次の世代につなぐ
・目標12「つくる責任、つかう責任」…資源を大切に使い、廃棄を減らす
・目標15「陸の豊かさを守ろう」…自然の循環を生かした暮らし方
しめ縄は、昔から「自然とともに暮らす」という日本の知恵を体現した文化でした。それを現代の暮らしに合わせて受け継いでいくこともまた持続可能な文化のあり方といえるでしょう。

 

「藁じゃないしめ縄」が広げる可能性

 

しめ縄_藁じゃないしめ縄

 

こうした中で注目されているのが、合成繊維で作られたしめ縄です。 「藁ではない」と聞くと少し意外に思うかもしれませんが、合成繊維のしめ縄も進化しており、湿気やカビに強く、長くきれいな状態を保てるのが特長です。

1番の魅力は、神社の場合は何十年も取り替えが不要であること、しめ飾りの場合は一度使って終わりではなく、繰り返し飾れるということでしょう。使い捨てではなく、何年も大切に使えることで、資源の無駄を減らす“リユース型のしめ縄”として広がりつつあります。

また、合成繊維ならではのカラーバリエーションや形の自由度もあり、現代のインテリアに合うモダンなしめ縄や、海外でも人気のデザインなど、新しい表現が次々に生まれています。
“伝統を守りながら進化させる”という意味で、とてもSDGs的な取り組みといえるでしょう。

 

伝統とテクノロジーの出会い

 

しめ縄_伝統とテクノロジー

 

合成繊維とはいっても、多くの場合、無機質な大量生産ではありません。昔ながらの編み方や形を大切にしながら、素材だけを現代仕様に置きかえることで、職人の技と現代の技術が共存するものづくりが実現しています。
折橋商店では、熟練の技をもつ職人がじっくり時間をかけて制作しています。

近年では、学校の授業や地域イベントで 「しめ縄づくり体験」を取り入れる例も増えています。子どもたちが実際に編み、飾り、日本の文化に触れることができます。単なる工作体験ではなく、自然を想い、昔の人の暮らしや願いを感じる体験でもあります。しめ縄を作るという行為は、手間のかかる作業ですが、その中には「感謝」「つながり」「めぐり」といった、人間の根っこにある大切な感情が息づいています。

 

おわりに|伝統と未来を結ぶやさしい輪

 

しめ縄_伝統と未来

 

しめ縄は、自然を敬い、祈りを形にしてきた日本のこころともいえる存在です。合成繊維という現代の素材を取り入れることで、その心をより長く途絶えることなく伝えられます。

昔ながらを守ることと、新しい工夫を加えること。その両方があってこそ、文化は未来に続いていきます。
しめ縄がもつやさしい輪が、これからも人と人、地域と自然をつないでいくと、SDGsの目指す「持続可能な世界」がみえてくるかもしれません。

 

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