神社へのお参りで、多くの方が楽しみにしているおみくじ。引いたことのある方も多いはずですが、「どういう意味があるの?」「いつから始まったの?」と、その奥深さを知らない方もいらっしゃるかもしれません。実は、おみくじはただの運勢占いではなく、古くから神様や仏様からの大切なメッセージを受け取るためのツールでした。
この記事では、おみくじが持つ歴史や意味、そして正しい引き方までを詳しくご紹介します。これからの神社参拝がもっと楽しく、そして意味深い時間になることでしょう。
おみくじとは?
おみくじとは漢字で書くと「御神籤」。お寺の場合は「御仏籤」などと書きます。
日本では古くから「神聖なくじの結果には神仏の意思が介入する」と考えられており、現代人の感覚よりはるかに重要なものでした。つまり、悩みごとなどについて神仏からのメッセージを受け取るためのツールだったのですね。
おみくじの歴史
ここでは、おみくじの歴史を詳しくみていきましょう。歴史がわかれば、より深く意味がわかります。
おみくじの起源と伝来
おみくじの起源は古代中国にさかのぼります。中国で行われていた占いの方法が、奈良時代に遣唐使によって日本にもたらされました。当時は、竹や木の札に神のお告げを書き、国の政治や人々の運命を占う神聖な儀式として用いられていたのです。
日本での発展
日本では、平安時代に貴族の間で「御籤(みくじ)」として広まりました。また、天台宗の元三大師良源が、中国の「天竺霊籤(てんじくれいせん)」という占いをもとにして作ったものも有名で、比叡山には「おみくじ発祥之地」と刻まれた石碑も立っています。
鎌倉時代に入るとおみくじの文化は武士階級にも広がり、源頼朝が重要な決断の際におみくじを引いたという記録もあります。戦の前に神社でおみくじを引く習慣も、室町・戦国時代を経て根付いていきました。例えば、室町幕府6代将軍の足利義教(よしのり)もくじ引きで決められた将軍として有名です。
庶民文化への定着
室町時代以降、おみくじは紙に書かれるようになり、より多くの人々が利用できるようになります。江戸時代には寺社参りが庶民の娯楽となり、おみくじも一般庶民の間で広く親しまれるようになりました。寺社へのお布施の代わりにおみくじを引く習慣もこの頃から始まったといわれ、運勢や吉凶を干支に読んだおみくじ「元三大師百籤」が流行しました。
神仏分離の影響
明治時代に移り、新政府から「神仏分離令」が出されると、神社と寺は切り離され、神社独自のおみくじを開発することとなります。おみくじに、お寺は漢詩、神社は和歌が載せられるようになったのはこの頃からです。
おみくじの引き方
おみくじは神様の意思を聞くものですから、正しい作法で引くことをおすすめします。
順番としては、神様への参拝をしてからおみくじを引きます。参拝を終えたら社務所や授与所でおみくじを受け取り、再び拝殿に向かって「いただいたお言葉を胸に頑張ります」と報告すると、より丁寧な参拝になります。
神社によっては「恋みくじ」など多種のおみくじがありますので、自分の願い事や悩みに近いものを選びましょう。おみくじを引く際は、悩みや占いたいことを頭に浮かべながら引きますが、具体的なな悩み事がない場合は「お言葉をください」などと唱えることで十分です。現在の自分にぴったりなお言葉が授けられるでしょう。
おみくじの「吉凶」は気にしすぎないのが吉
おみくじには、大吉・中吉・小吉・末吉・凶・大凶など、いろいろな種類があります。「凶」を引くと動揺してしまうかもしれませんが、気にしすぎることはありません。おみくじの吉凶は、ただの運の良し悪しではなく、「これからの自分に期待できる伸びしろ」や「今、気を付けるべきこと」を示してくれているため、私たちが前向きに行動するための「羅針盤」だと捉えるのが適切でしょう。
この時に忘れてはならないのが、吉凶だけでなく、和歌や説明、各項目の言葉をじっくりと読むことです。大吉だったとしても厳しい言葉が書かれている場合もあるものですよ。
おみくじは、結ぶ?持ち帰る?
おみくじを引いた後、境内の木に結びつける光景をよく見かけます。これは、悪い運勢が出た時に、厄を神様に預けていくという意味、神様とのご縁を「結ぶ」という意味があります。
反対に、結ばずに持ち帰ることも全く問題ありません。財布や手帳など、普段目にする場所に大切に保管し、読み直すことで、おみくじの言葉を忘れずに行動の指針にすることができます。持ち帰った場合は、心願が成就した際や、次回の参拝の際に、お焚き上げ用の箱に納めて感謝を伝えるのがおすすめです。
まとめ|おみくじは神様からのメッセージ
おみくじは、単なる吉凶を占うものではなく、古くから、私たち日本人が神様や仏様からのメッセージを受け取り、人生の羅針盤としてきた大切な文化ともいえます。その歴史を知ることで、おみくじが持つ奥深い意味をより深く理解できたのではないでしょうか。
引いたおみくじの吉凶に一喜一憂するのではなく、そこに書かれている和歌や説明、各項目の言葉をじっくりと読み解き、生活に活かすことが大切なのです。次回の参拝の際には、ぜひ意識しておみくじを引いてみてください。