子どもと一緒に神社に参拝したり、お正月飾りを飾ったり、しめ縄を目にする機会はあるでしょう。しめ縄の意味を知り、子どもに伝えることで、親子で日本文化を一緒に楽しく学ぶきっかけにもなります。
この記事では、しめ縄の意味を中心に親子でしめ縄や正月飾りを理解し、楽しむための方法を解説します。
しめ縄の意味とはじまり
神社には実は想像以上にたくさんのしめ縄が張られています。例えば鳥居や拝殿、巨石、御神木、手水舎など、さまざまな場所でしめ縄を見つけることができるでしょう。また、家庭にある神棚は神社をミニチュアにしたもの、お正月のしめ飾りはしめ縄が派生したものです。ここではしめ縄の意味とはじまりをご紹介します。
しめ縄の意味
簡単にいうと、しめ縄は神様のいる場所と私たちの暮らす場所を分けるものです。「ここから先に神様がいますよ、ここの中には神様がいますよ」などと教えてくれているのです。しめ縄が張られている場所の向こう側はとても神聖な場所であり、しめ縄は悪いものが入っていかないようにする結界(バリア)としての役割もあるのです。
神社に入ると、雰囲気が変わったような感覚になったことはありませんか?
それは、鳥居やしめ縄をくぐることで、神様のいる神聖な領域に入ったからといえるでしょう。
しめ縄のはじまり
それでは、しめ縄はいつからあるのでしょうか。
しめ縄のはじまりは、大昔の日本神話「天岩戸隠れ」と言われています。どんな話かというと、神様たちの住む世界で、太陽を司る神・天照大神(あまてらすおおみかみ)が弟の素戔嗚尊(すさのおのみこと)に家を荒らされたり、仲間を傷つけられたりしたため、ショックのあまり天岩戸という洞穴に閉じこもってしまいました。
天照大神は太陽の神様なので、世界が闇に包まれ多くの災いが起こりました。そのため困った他の神々が天照大神を岩戸から出そうと、楽しい宴会を開き、さまざまな出し物をします。そのうちに天照大神が様子を見ようと天岩戸から少し出てきたところを、力の強い神が引っ張り出し、2度と天岩戸へ入らないように、尻久米縄(しりくめなわ)を張りました。
この尻久米縄がしめ縄の原型です。
しめ縄を探してみよう
神社に親子で行って、しめ縄を探してみましょう。その際には、つけられている場所やものに注目したり、しめ縄の形、房や紙垂(しで)の形や数の違いにも注目してみてくださいね。
お正月のしめ飾りの意味
神社にあるしめ縄が派生したものが、お正月に飾るしめ飾りです。昔は、正月の前に家の廻にしめ縄を張りめぐらせて、邪気を払っていましたが、次第に簡略化し、願いを込めて縁起物を飾るようになったのです。
お正月のしめ飾りの意味
自宅にあるしめ縄のうち、神棚のしめ縄は神様がいる神聖な場所を示すため、神社と意味は同じですが、お正月に飾るしめ飾りは少し違います。
一言でいうと、お正月のしめ飾りは、歳神様をお迎えする目印です。
年末には家の中を大掃除しますよね。家を綺麗にして、しめ飾りをつけることによって、歳神様をお迎えする準備ができたことを示すのです。
歳神様とは、地域によって呼び方もさまざまで、新年を祝い家族の幸福を繁栄を願う神、田の神や山の神、祖先神などさまざまな民間信仰が混ざり合って生まれたと言われています。
お正月は歳神様を家にお迎えし、一緒に過ごす期間なのです。
しめ飾りの縁起物の意味
しめ飾りにはさまざまな飾りがついていますが、それぞれに意味があります。
しめ飾りをみながら、どんな飾りがついているのか見るのも楽しいですね。
飾りの意味を知って自宅に飾る際の参考にしてください。
橙…代々家が繁栄するように
紙垂…よくないものを遠ざけ、神聖さを示す
裏白…清い心、長寿、夫婦円満、長く栄える
ゆずり葉…子孫代々の繁栄
松ぼっくり…子孫繁栄
南天…難を転じて福となす
扇…繁栄、開運
海老…長寿
鶴…長寿、家庭円満
亀…長寿、吉兆
しめ縄の正しい飾り方とその理由
しめ縄には正しい飾り方があります。
ご家庭で飾れるのはもっぱら神棚とお正月のしめ飾りですので、この2つの飾り方のポイントをご紹介します。
神棚のしめ縄の飾り方
神棚のしめ縄は、ごぼう締めまたは大根締め、前垂れ型であることが多いですが、地域によって形が違ってきます。
ごぼう締めで説明すると、しめ縄は向かって右側に太い方を向けます。太い方は綯い始め(ないはじめ)といい、縄を作り始めた最初の部分のことをいいます。
日本には古くから右よりも左を上位とする考え方があり、神様から見ると左側に綯い始めの太い方がくるようにつけるのです。
くわえて、しめ縄についている白い紙を「紙垂」と呼びます。紙垂も悪いものを寄せ付けないというバリアの役割がありますので、表側をこちらにむけて、しめ縄に差し込みましょう。
お正月のしめ飾りは飾る時期が大事
お正月のしめ飾りは、飾り方よりも、飾る時期が大事です。
お正月の準備は12月13日からはじまる「正月事始め」からはじめ、大掃除が終わってからしめ飾りをつけます。
しめ飾りをつける日は、「二重苦」と読める29日と一夜飾りになる31日は縁起が悪いため避けた方がいいと言われています。
また、伊勢地域など地域によってはしめ飾りを1年中飾るところもありますが、一般的には松の内を過ぎたら、しめ飾りを取り外します。松の内とは、神様が家に滞在されている期間のことをいい、関東では1/7まで、関西では1/15までが一般的です。
取り外したしめ飾りは、地域や神社で行われるどんど焼き(どんと焼き、鬼火焚き、道祖神祭りなどとも呼ばれます)に持っていきお焚き上げしてもらいましょう。
お焚き上げすることで、煙とともに歳神様をお送りするのです。
近年ではインテリアとしておしゃれなしめ縄も登場していますので、必ず処分しなければならないわけではありません。湿気や虫に気をつけて大事に保管して、来年使うこともできます。大事なのは気持ちです。
まとめ〜手作りしめ縄で正月準備を楽しもう〜
しめ縄やお正月を親子で楽しむ方法のひとつにしめ縄作りがあります。一見難しそうですが、実はとても簡単に作れます。稲わらなどの材料を入手し、縄を綯い、飾りをつければ、オリジナルのしめ縄の完成です。縁起物をつける場合は、松ぼっくりや南天の実、松の枝など、自然のものをお子さんと一緒に拾ってつけるのもよいですね。