現代では少なくはなっているものの、神棚のある家や会社も多いですよね。
神棚はいわば小さな神社であり、家内安全や繁栄などを願う場所ですので、常に清浄にし、しめ縄も正しく飾る必要があります。
この記事では、神棚へしめ縄を飾る意味、正しい飾り方、交換の時期や方法を解説します。
しめ縄を神棚に飾る意味と役割
しめ縄は神棚だけでなく、神社の鳥居や境内の拝殿などの建物、御神木や巨石、御旅所(神様が祭礼などの際に、境内の外でお休みされる場所)などにみられる縄のことで、お正月に玄関に飾るしめ飾りも、このしめ縄が派生したものです。
しめ縄は、神様がいらっしゃる神聖な領域と私たちの住む世界とを分ける結界の役割があります。
神棚はいわば、小さな神社。小さくても神様のいらっしゃる神聖な場所ですので、そこへ不浄なものやよくないものが入らないように、しめ縄を飾っているのです。
また、しめ縄から垂れ下がっている白い紙を紙垂といい、紙垂にも大事な役割があります。
紙垂は、稲妻の形をしているものが一般的で、稲妻の力でよくないものを寄せ付けない、稲作に関係して豊作祈願の意味を持ちます。
紙垂の数は4つ垂らすのが一般的ですが、地域によっては2つや8つのところもあり、取り付ける際は、しめ縄の網目の間に差し込んでつけます。
さらに「前垂れ形」のように、しめ縄にしめの子をつける場合もあります。
神棚のしめ縄の選び方
神棚にはどのようなしめ縄を選べばよいのでしょうか。以下で3つのポイントからみていきましょう。
しめ縄の形
神棚のしめ縄はごぼう締めが主流ですが、ごぼう締めが太くなった「大根締め」や前掛けのようにしめの子が垂れ下がっている「前垂れ型」などもあります。
地域の慣習に従って選ぶか、ご自身の好みで選ぶとよいでしょう。
しめ縄のサイズ
神棚の大きさに合わせて、サイズを合わせましょう。
神棚の棚板の幅よりも若干長めのサイズを選ぶとバランスがよくなります。目安としては、神棚の長さよりも1尺長いものがよいでしょう。
しめ縄のサイズは尺寸で表されることが多く、端から端までの長さではなく、根元から結んである部分までの長さを示すため、注意が必要です。
(1尺=約30cm、1寸=約3cm)
しめ縄の素材
しめ縄の素材は、稲わらが主流です。これは、稲作が身近であり稲わらが手に入りやすいこと、また稲わらを使うことで豊作祈願をする意味もあります。
地域によっては麻が主流である場所(かつて主流だった場所)もありますが、麻のしめ縄は稲わらと比べても高価で希少性が高いのが特徴です。
また、現在では耐久性があり、長期間交換が不要な化学繊維のものも注目されています。
神棚へのしめ縄の正しい向きと取り付け方
神棚へしめ縄を取り付ける際に最も気を付けるべきことは「向き」です。以下で注意点をまとめましたので、参考になさってください。
神棚のしめ縄の向きと取り付け方
一般的には向かって右側に太い部分がくるように飾ります。
太い方を綯い始め(ないはじめ)、細い方を綯い終わりといい、古くから、左が上位、右が下位とする風習があるため、神様からみて左側に綯い始めがくるように飾るのです。
しかし、例外もあり、商売繁盛を願う「入船」「出船」では逆になる場合もあります。
「入船」は商売繁盛を願い、お客さんがたくさんくるように願うもので、向かって右側に太い方を向けますが、「出船」は家から出て働き、たくさん稼ぎを持って帰ることを願い、左側に太い方をむけるそうです。
また、太陽のある方角にしめ縄の太い方を向けるという地域では、神棚の向きや方角によっても変わる場合があります。
しめ縄そのものの取り付け方に関しては、特に決まったルールがあるわけではなく、L時の金具を使ったり、丈夫な糸や針金で吊るしたりとやりやすい方法で取り付けてください。
紙垂の正しい向き
しめ縄の向きも大事ですが、紙垂の向きにも注意が必要です。
紙垂には裏表があり、表側を私たちの方に向けます。これは神様のいる神聖な空間に、よくないものが入っていかないようにするためです。
神棚のしめ縄を飾る時期と処分方法
神棚のしめ縄は基本的に1年に1度新しいものに交換します。その際には交換時期と古いしめ縄の処分方法に気をつけましょう。
神棚のしめ縄交換に最適な時期は年末
神棚のしめ縄は1年の無病息災や家内安全などを祈る意味もあるため、年末に取り替え、新しいしめ縄で新年を迎えるのがよいといわれています。
12月13日の正月事始め以降、大掃除が終わったタイミングで新しいしめ縄と交換します。29日と31日は縁起の問題があるためさけましょう。
また、神棚にも鏡餅や神饌、榊などお正月のお飾りをつける地域もあり、正月用の飾りは松の内が終わってから取り外すことが一般的です。
古くなったしめ縄の処分方法
古くなったしめ縄の処分方法は、どんど焼きに持っていく、神社でお焚き上げしてもらう、自治体のルールに従って処分する3通りがあります。
どんど焼きは、1月15日前後に神社や地域の広場にて行うお焚き上げの行事です。お正月飾りやしめ縄、地域によってはだるまや書き初めなどを焼き、立ちのぼる煙とともに歳神様をお送りします。
どんど焼きがない、または参加できなかった場合は、神社に持っていくとお焚き上げしてくれる場合がありますが、事前に確認するとよいでしょう。
どんど焼きも神社への持ち込みも難しい場合には、自治体のゴミに出しても大丈夫ですが、塩で清め、白い紙に包んでから捨てることをおすすめします。
まとめ〜神棚のしめ縄は正しく飾り、よい空間を保ちましょう〜
家庭や会社にいながら神様に見守っていただける場所、神棚。しめ縄や紙垂の向き、選び方、交換の仕方など決まりはありますが、さほど難しくはありません。心をこめて神棚を清浄に保つことで、神様にとってよい空間になり、家族にとっても家が心地よい空間になるといいですね。